パーキンソンの法則(読み)ぱーきんそんのほうそく(英語表記)Parkinson's Law

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パーキンソンの法則」の意味・わかりやすい解説

パーキンソンの法則
ぱーきんそんのほうそく
Parkinson's Law

イギリスの歴史学者・経営研究者パーキンソンCyril Northeote Parkinson(1909―93)が1957年に公刊した同名の書物によって有名になった、行財政の組織と運営における非合理な慣行総称。その第一「法則」は、公務員の数は、なすべき仕事の軽重とか仕事の有無に関係なく、上級公務員が出世するために部下の数を増やす必要があることから、一定の割合で増加するというもので、それを数式で表現している。第二「法則」は、国の財政では、個人の家計と異なり、まず支出を決定してから収入を定める悪慣行があるため、課税は無限にあがるというもの。彼はこれを「かねは入っただけ出る」と表現している。そのほかにも、委員会の定員は5人に限ることが必要で、20人以上になれば運営不能である、とか、公務員はお互いのために仕事をつくり合う、などの、数多くの「法則」が説かれ、皮肉たっぷりな表現で官僚機構の弊害が指摘されている。

田口富久治

『森永晴彦訳『パーキンソンの法則』(1965・至誠堂)』『福島正光訳『パーキンソンの第二法則』(1965・至誠堂)』『上野一郎訳『パーキンソンの法則(新編)』(1981・ダイヤモンド社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パーキンソンの法則」の意味・わかりやすい解説

パーキンソンの法則
ぱーきんそんのほうそく
Parkinson's law

1957年イギリスの政治学者 C.N.パーキンソンがロンドンエコノミスト誌上に発表した法則。海軍戦艦軍人の数は減っているのに,海軍省役人の数が大幅にふえている事実などから「ラインの仕事量は同じであっても,スタッフは年 5.17~6.56%の割合でふえる」といった定式化を行い,スタッフの自己増殖作用を明らかにした。こういったスタッフ機能の増殖は,組織運営上の非効率を生み出すだけでなく,現場情報からの乖離 (かいり) を引起し,市場に対する適切で素早い対応を妨げるようになる。そこで企業は,スタッフ部門を独立採算化したり,本社機能を意識的に縮小させるなどさまざまな対策を試みている。

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