日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒトスジシマカ」の意味・わかりやすい解説
ヒトスジシマカ
ひとすじしまか / 一条縞蚊
[学] Aedes albopictus
昆虫綱双翅(そうし)目糸角(しかく)亜目カ科に属する昆虫。ヤブカ属に属し、南日本の住家近くや昼間木陰などで吸血しにくるのはほとんど本種である。翅長3ミリメートル内外の黒色の小形種。中胸背の正中線に沿って銀白色の1縦条を有す。その後方にも細い銀白色のW字斑(はん)があり、翅根の上方部に銀白色の幅広い鱗片(りんぺん)よりなる斑紋をもつ。仙台市以南の南日本、および東洋区、オーストラリア区の熱帯から温帯にかけて広く分布する。墓地の花立て、水盤、竹の切り株、水槽、空き缶、古タイヤなどの人工容器の小水域に発生し、あまり移動せずに近くに通りかかるヒトや動物を激しく襲って吸血する。昼間活動性であるが、夜間でも灯火のもとでは吸血活動がみられる。デング熱を媒介するカとして衛生上重要種である。
[倉橋 弘]