ヒナコウモリ(読み)ひなこうもり(英語表記)frosted bat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒナコウモリ」の意味・わかりやすい解説

ヒナコウモリ
ひなこうもり / 雛蝙蝠
frosted bat
particolored bat

広義には哺乳(ほにゅう)綱翼手目ヒナコウモリ科ヒナコウモリ属に含まれる動物の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この属Vespertilioの仲間は旧北区特産で、ヨーロッパヒナコウモリV. murinus、トウヨウヒナコウモリV. orientalis、ナミヒナコウモリV. superansの3種がある。虫食性で、中形。スカンジナビア半島シベリア、中国、朝鮮半島、北海道、本州、九州に分布する。前腕長40~60ミリメートル、頭胴長55~75ミリメートル、尾長35~50ミリメートル、翼開長25~27センチメートル。クビワコウモリに類似するが、毛が長く、顕著な霜降り状を呈する。耳介は四辺形で短くて幅広く、キノコ形の小さな耳珠を備える。耳珠の内方は深くくぼみ、その外方は突出する。体背面は赤褐色から黒褐色まで変化に富む。毛の基部は暗褐色、その先端部は白またはクリーム色をしている。建造物内、洞窟(どうくつ)の岩の割れ目樹洞にすみ、数頭から数千頭に及ぶ群れで冬眠する。何千頭もの成獣の雌と少数の若い雄からなる繁殖集団をつくり、成獣の雄と別の集団をつくる。食物が豊富な初夏に1産1子または2子を産む。新生子は赤裸閉眼これらは集まって子だけの群れをつくる。狭義にヒナコウモリとよばれる種はナミヒナコウモリで、アジア東部、日本に分布し、ほかの種より耳介が短く丸い。

[吉行瑞子]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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