フランスの小説家。パリから遠くないビル・ダブレーの生まれ。第二次世界大戦後出現した実存主義者のなかにいながら実存主義に追随せず、独自の小説『うたかたの日々』(1947)、『北京(ペキン)の秋』(1947)、『心臓抜き』(1953)などを発表したが、翻訳と見せかけた偽作『墓に唾(つば)をかけろ』(1947)が告発されて罰金刑を受ける不祥事が起こり、生前は文学者として正当に評価されずに終わった。晩年はジャズ・トランペット奏者、シャンソン作詞作曲者兼歌手として生きた。死後数年して競って読まれだし異常な人気作家となった。作品の特色はユーモア、幻想、言語遊戯に満ちた黒い笑いである。戯曲『帝国建設者』(1959)、『将軍たちのおやつ』(1962)、詩集『ぼくたちはくたばりたくない』(1963)など、いずれも衝撃的な迫力をもつ。
[曽根元吉]
『『ボリス・ヴィアン全集』全13巻(1979~1982・早川書房)』▽『ボリス・ヴィアン著、曽根元吉訳『日々の泡』(新潮文庫)』
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