日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビューフォート」の意味・わかりやすい解説
ビューフォート
びゅーふぉーと
Sir Francis Beaufort
(1774―1857)
イギリスの海洋・気象学者、海軍少将。1787年海軍に入り、1805年には測量艦ウールウィッチWoolwichの艦長としてギリシア諸島の沿岸を測量、1829年から26年間にわたって水路監を務めた。業績としてもっとも有名なのは、ビューフォート風力階級として現在使われている風の尺度を考案したことである。現在は地表の地物の状態や海面の波浪などを目安として見積もられているが、ビューフォートが初めにこれを考案したときは、帆船の風に対する状態として決められたのであった。すなわち、風力1は舵(かじ)がかろうじて効く程度の微風速、風力2~4は、当時の軍艦がすべての帆を上げて走るとき、風力2は1~2ノット、風力3は3~4ノット、風力4は5~6ノットの船足(ふなあし)に相当した。また風力5~9は帆の張り方によって決められたものである。1806年の航海日記に彼はこの階級で風力を書き込んだので、この年がビューフォート風力階級の始源の年となる。風力階級は、1838年からイギリスの海軍ではっきりした定義づけのもとに広く使われるようになった。
[根本順吉]