ビル・ブローカー(読み)びるぶろーかー(英語表記)bill broker

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビル・ブローカー」の意味・わかりやすい解説

ビル・ブローカー
びるぶろーかー
bill broker

手形仲買人。今日では割引商社discount houseとよばれ、ロンドン割引市場・貨幣市場の重要な構成主体である。銀行などからコール資金を取り入れ、それで商業手形、地方自治体債券、大蔵省証券などを保有する。両者の間のマージン収益源泉である。金融逼迫(ひっぱく)時には、銀行などがコールを回収することになるが、ビル・ブローカーは保有する商業手形などをイングランド銀行で再割引し、その資金でコールを返済する。すなわち、イングランド銀行の「最終の貸し手」としての機能はおもに割引商社を通じて果たされるのであって、イングランド銀行から貨幣市場(割引商社)を通じて銀行組織へと資金が供給される。

 なお、第二次世界大戦前の日本にもビル・ブローカーとよばれるものが存在したが、手形割引市場が未発達であったから、その実質はコールの仲介業者であった。

[鈴木芳徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビル・ブローカー」の意味・わかりやすい解説

ビルブローカー
bill-broker

銀行,手形引受業者などの金融機関相互間,あるいは金融機関と商人との間に立って手形の売買をする業者。欧米でもイギリスでは割引市場が特に発達しており,イングランド銀行,市中銀行ビルブローカーの3者が中心となって割引市場を構成しているが,ビルブローカーでも単に手形売買の仲介だけを業とするランニングブローカーではなく,自己の計算で手形売買を行うディスカウント・ハウス (割引商社) が特に重要であり,割引市場の中心的な役割を果している。日本ではコール市場が発達したため,ビルブローカーでなく短資会社という名称で主としてコール取引の仲介を営んでいたが,1971年6月手形売買市場の創設とともに手形売買の仲介をも行なっている。

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