コール市場(読み)コールシジョウ(英語表記)call money market

デジタル大辞泉 「コール市場」の意味・読み・例文・類語

コール‐しじょう〔‐シヂヤウ〕【コール市場】

コール資金の取引が行われる市場。貸し手・借り手の金融機関と、その媒介をする短資業者とによって構成され、コールレートが決まる。コールマーケット

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精選版 日本国語大辞典 「コール市場」の意味・読み・例文・類語

コール‐しじょう‥シヂャウ【コール市場】

  1. 〘 名詞 〙 ( コールは[英語] call ) コールが行なわれる金融市場。〔国民百科新語辞典(1934)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「コール市場」の意味・わかりやすい解説

コール市場 (コールしじょう)
call money market

アメリカのフェデラル・ファンド・マーケット,イギリスのコール・割引市場に相当する。金融機関や証券会社等は日々の営業活動において一時的に資金繰りゆとりが生じたり,不足に陥ったりするが,こうした短期の資金過不足を相互に,また円滑に融通し合う貸借取引の場を総称して一般に短期金融市場と呼ぶ。コール市場は,伝統的かつ代表的な短期金融市場で,金融機関が相互に支払準備の過不足を調整するため,ごく短期の資金(コールとは〈呼べば戻って来る〉の意)をやりとりする場であって,市場参加者が金融機関を主体に一定範囲に限定されたインターバンクの市場である点で,現先市場,譲渡性預金(CD)市場など短期金融市場を形成するオープン市場と基本的に異なる。コール市場における取引は,すべて短資会社を相手として行われる。資金の貸手(出手)は資金(コール・ローン)を短資会社あてに放出し,借手(取手)は資金(コール・マネー)を短資会社から取り入れるのであり,短資会社はこの間の出合いを自己勘定でつけている。

 日本には資金偏在といわれる現象が存在し,コール市場において,都市銀行が取手となり,都市銀行以外の金融機関が出手となるというパターンが固定化してきたという特色がみられる(〈資金ポジション〉の項参照)。コール市場で取引される資金は,現在,半日もの,無条件もの,期日もの(2~7日)の3種類であり,このように期間がごく短期の点において,コール市場と同じ性格の手形売買市場手形市場)と区別される。日本では,半日ものを除きすべて国債など担保付きの取引である。コール資金の取引に適用される金利をコール・レートといい,短期金融情勢を判断するうえでの重要な指標となっている。コール・レートは,もともと弾力的に動いてきたが,1979年4月出手,取手双方の合意にもとづく建値制(市場参加者にとって均一なレートが前日に明らかにされている制度)が廃止され,金利が完全に自由化されて以降,公定歩合に規定されつつも,その時々の短期金融市場における資金の需給関係をきわめて敏感に反映して動くようになっている。また日本銀行は,日々の金融調節において,日本銀行信用(貸出し,オペオペレーション)など)の増減を通じて金融機関の支払準備に働きかけ,コール市場におけるコール資金需要,供給の地合いを形成し,コール・レートに影響を与えている。日本銀行は,短資会社に対する貸出し(資金放出)や売出手形(資金吸収)などにより,コール市場の需給を直接動かすこともある。コール・レートとオープン市場でのレートとの金利裁定を通じて各市場の金利が短期間に収れんすることとなるが,そうした金利裁定取引の活発化は,金融政策の効果が波及する重要な経路となっている。
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ASCII.jpデジタル用語辞典 「コール市場」の解説

コール市場

コール市場とは、インターバンク市場のひとつで、金融機関が相互に短期の貸し付け、借り入れを行なっている市場のことである。「呼べばこたえる」というように、ごく短期で回収できる貸借という意味を込めてコール市場と名づけられている。市場取引は短資会社が仲介している。従来、有担保でなければならない、金利は1%でなければならない、など様々な規制があった。しかし、金融緩和のなかで、段階的にコール市場の自由化が進み、現在では無担保ベースと有担保ベースの2つを金融機関は選択できる。また、貸借期間も当日返却から1年までと自由に設定できる。金利レートも0.001%に変更された。このような自由化の中で、金融機関は資金調達の方法を、日銀からの借り入れからインターバンク市場での調達にシフトし、日銀からの負債額を減らしつつある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コール市場」の意味・わかりやすい解説

コール市場
コールしじょう
call money market

金融機関相互間のごく短期の資金の貸借市場。「呼べば答える」というほど,予告によってただちに回収できる貸借のためにコールという名がついた。資金の貸手側からみれば支払準備金の運用市場であり,借手側からみれば一時的な不足資金の調達場である。手形売買市場とともに短資市場を形成している。金融の繁閑がこの短資市場に最も敏感に反映されるので,金融の動向や景気の動向を判断するうえでの重要な指標となっている。コール資金の返済期限に応じて,半日物,無条件物などがある。また,担保の要不要により有担保コール市場,無担保コール市場に分類される。

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百科事典マイペディア 「コール市場」の意味・わかりやすい解説

コール市場【コールしじょう】

金融機関が他の金融機関に貸し出すきわめて短期の資金をコールcallといい,これが取引される市場をコール市場という。コールの供給者は銀行,保険会社等,需要者は銀行,短資会社,証券会社等で,資金は手形交換尻(じり)の決済や株式受渡金の調達などに利用される。→コール・ローン
→関連項目債務不履行ニューヨーク金融市場

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世界大百科事典(旧版)内のコール市場の言及

【手形売買市場】より

…略して手形市場ということも多い。金融機関が相互に短期の資金を融通し合う貸借取引の場の一つで,コール市場と並びインターバンクの短期金融市場を形成している。手形割引市場ともいうことがある。…

【マネー・マーケット】より

…前者はほとんどいずれの国においても非常によく発達しており,銀行・金融機関が活発に短期資金を貸借し合っている。 日本でいえば,コール市場,手形市場がこれに該当する。後者のオープン・マネー・マーケットは,国によって発達の程度が大きく異なっている。…

※「コール市場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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