ピルケ(読み)ぴるけ(英語表記)Clemens Peter von Pirquet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピルケ」の意味・わかりやすい解説

ピルケ
ぴるけ
Clemens Peter von Pirquet
(1874―1929)

オーストリア小児科医。ウィーン近郊の小村で貴族の家庭に生まれる。グラーツで医学を学び、ウィーン大学のエシェリヒT. Escherich(1857―1911)の下で小児科学を専攻。この時期、ジフテリアやしょうこう熱に対する血清療法が盛んで、彼は、これに伴っておこる血清病に関心を寄せ、生体異種の物質と接触することによって示す反応性の変化(過敏症と免疫)をアレルギーと名づけた(1907)。結核検診に広く用いられた経皮的ツベルクリン反応ピルケ反応)は、この理論の副産物である。1908年ジョンズ・ホプキンズ大学教授として渡米、1910年ブレスラウに移る。1911年、エシェリヒの死後衆望を担ってウィーン大学の小児科学教授となり、小児栄養、生体計測などに業績をあげた。

梶田 昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピルケ」の意味・わかりやすい解説

ピルケ
Pirquet, Clemens von

[生]1874.5.12. ウィーン郊外
[没]1929.2.28. ウィーン
オーストリアの小児科医。ウィーン大学教授 (1911~29) 。グラーツにあるカール・フランツ大学で,ハンガリーの B.シックを知り,1905年に治療血清によって起る血清病を記載した。免疫と過敏症という2つの現象をまとめて,ピルケとシックは,06年にアレルギーという新しい言葉を提唱した。 07年には小児が結核に感染しているかどうかを知るために,皮膚切り傷をつけてツベルクリン接種を行うという方法 (ピルケ反応) を発表している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android