ファド(読み)ふぁど(英語表記)fado

翻訳|fado

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファド」の意味・わかりやすい解説

ファド
ふぁど
fado

ポルトガルの大衆歌謡。語源は運命、宿命を意味するラテン語fatumにあるといわれている。起源には諸説があるが、一説にはリスボンで流行した叙情的歌謡モディーニャとブラジルで発達した黒人舞曲ルンドンが融合し、19世紀中ごろリスボンで成立したとされる。通常、独唱で歌われ(女性歌手が多い)、鼻母音を生かした発声で、哀愁に富んだ旋律を微妙に小節(こぶし)をきかしてデリケートに表現するところに特色がある。歌の内容は、恋愛や望郷の念など、人生の機微や生活感情に即したものが多い。伴奏はポルトガル・ギター(円形胴、六複弦の弦楽器)が高い甘美な音色で歌手の旋律を装飾し、ビオラ(四、五弦のギター)が低音部でリズムを刻み、ハーモニーを奏する。太鼓が使用されることもある。港町リスボンのカフェーなどで歌われる哀愁に満ちた「リスボンのファド」と、文教都市コインブラで大学生が歌う甘美で叙情的な「コインブラのファド」の二つの様式がある。第二次世界大戦後、名歌手アマリア・ロドリゲスによって広く世界に知られるに至った。

[田井竜一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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