フォス(読み)ふぉす(英語表記)Johann Heinrich Voss

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォス」の意味・わかりやすい解説

フォス
Voss, Johann Heinrich

[生]1751.2.20. ゾンマースドルフ
[没]1826.3.29. ハイデルベルク
ドイツ詩人,翻訳家。「ゲッティンゲン林苑同盟」 Göttinger Hainbundの中心人物。 1776~80年『ゲッティンゲン詩神年鑑』 Göttinger Musenalmanachを発刊。『70歳の誕生日』 Der siebzigste Geburtstag (1780) ,『ルイーゼ』 Luise (95) のような田園詩で有名であるが,むしろ『オデュッセイア』 (81) ,『イリアス』 (93) などの古典の翻訳で高く評価されている。これはゲーテシラーに大きな影響を与えた。そのほかシェークスピアの翻訳もある。

フォス
Vos, Cornelis de

[生]1584?. フルスト
[没]1651.5.9. アントウェルペン
フランドル画家。1608年アントウェルペン親方として登録。その後ペーテル・パウル・ルーベンス工房で制作。アンソニーファン・ダイクの友人。明るい色調と優雅で誠実な描写上流階級に広く顧客をもった。主要作品『アブラハム・グラフェウス』(1602,アントウェルペン王立美術館),『画家とその家族』(1621,ベルギー王立美術館)など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォス」の意味・わかりやすい解説

フォス
ふぉす
Johann Heinrich Voss
(1751―1826)

ドイツの詩人。メクレンブルクの生まれ。ゲッティンゲン詩派に加わり、1775年以降は『ゲッティンゲン文芸年鑑』の編集者。シラーが、その小市民的な生活感情の素朴さを絶賛した『ルイーゼ』(1795)にみられる田園詩形式を得意とし、古典期のゲーテにも影響を及ぼした。またホメロス精神をみごとに再生させたドイツ語訳『オデュッセイア』(1781)、『イリアス』(1793)の翻訳家としても知られる。

[新保弼彬]

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