ヒンデミット(読み)ひんでみっと(英語表記)Paul Hindemith

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒンデミット」の意味・わかりやすい解説

ヒンデミット
Hindemith, Paul

[生]1895.11.16. ハーナウ
[没]1963.12.28. フランクフルトアムマイン
ドイツの作曲家。フランクフルトの高等音楽学校で学んだ。 1915~23年フランクフルト歌劇場のコンサートマスター,アマール四重奏団のビオラ奏者。ドナウエッシンゲンバーデン=バーデンの現代音楽祭創設に参加し,新進作曲家としての地位を確立した。 27~37年ベルリン高等音楽学校の作曲教授。 35~37年アンカラ音楽学校名誉教授。ナチスによる圧力のため 39年アメリカに移住し,46年市民権を取得。 40~53年エール大学音楽部長となり,51~58年チューリヒ大学とエール大学を隔年交互に講義し,晩年スイスに住んだ。作曲家とは,社会の要求に応じて音楽をつくりだす職人であるとする彼の作品は,しばしば「実用音楽」ともいわれたが,現代音楽に及ぼした影響は少くない。 56年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者として来日。主著『作曲の手引』 Unterweisung im Tonsatz (1937~39,未完) ,『作曲家の世界』A Composer's World (51) 。作品はオペラ画家マティス』 (1938,チューリヒ初演) ,『世界の調和』 (57,ミュンヘン初演) ほか,バレエ音楽,映画音楽協奏曲管弦楽曲など多数

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒンデミット」の意味・わかりやすい解説

ヒンデミット
ひんでみっと
Paul Hindemith
(1895―1963)

ドイツの作曲家。ハーナウに生まれる。フランクフルトのホーホ音楽院でバイオリンと作曲を学ぶ(1909~17)。フランクフルト歌劇場管弦楽団のコンサートマスター(1915~23)、アマール・ヒンデミット四重奏団のビオラ奏者(1921~29)など、演奏家として活躍する一方、ベルリン高等音楽学校の作曲科教授に就任(1927)。しかしナチスに追われてアメリカに移住し(1940)、エール大学(1940~53)、さらに第二次世界大戦後はスイスに渡り、チューリヒ大学で教鞭(きょうべん)をとった(1951~55)。晩年は指揮者として世界各地を訪れ、日本にも1956年(昭和31)ウィーン・フィルハーモニーとともに訪れている。フランクフルト・アム・マインで没。彼の作曲活動は第一次大戦後から本格的に始まり、その作品は各ジャンルにわたって膨大な数に上るが、西洋音楽の転換期にあって、理論に裏づけされた調性組織の合理的再考と新古典主義的作風によって新しい方向を提示した。中世の画家マティス・グリューネワルトイーゼンハイム祭壇画によるオペラ『画家マティス』(1934~35)と、同題の交響曲(1934)がよく知られている。

[寺田由美子]

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