ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘビクイワシ」の意味・わかりやすい解説
ヘビクイワシ
Sagittarius serpentarius; secretarybird
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鳥綱タカ目ヘビクイワシ科の鳥。この科は、ヘビクイワシ1種だけしかない特殊な科である。アフリカのサハラ砂漠以南に分布する。全長約1メートル、嘴(くちばし)は鋭く曲がる。後頭には十数本の冠羽があり、これが羽根ペンをかつらに挿した中世ヨーロッパの書記官を連想させることから、ショキカンチョウ(書記官鳥)の別名をもつ。足は著しく長い。頭部から体は灰色で、目の周囲は赤く、腰、腹、もも、風切(かざきり)は黒い。中央尾羽は長く伸びて灰色、先端が白くその内側に黒帯がある。草原にすみ、長い足で歩き回って獲物を探す。ヘビ、トカゲ、鳥の雛(ひな)、大形の昆虫、小形の哺乳(ほにゅう)類などをみつけると、近づいて強く踏みつける。一度踏みつけると1メートルぐらい飛びのき、獲物の周囲を回ってふたたび近づき、片足で強打を加える。これは毒ヘビを殺すのに安全な方法である。狩りは、つがいや家族でいっしょに行うことが多い。上が平たくなった木の上に止まって眠るのが普通である。繁殖期には縄張りをもって生活する。高木の枝上に小枝で皿形の巣をつくり、2、3日間隔で1腹2、3個の卵を産む。雌だけが抱卵し、抱卵日数は約45日である。
[高野伸二]
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