ヘビクイワシ(読み)へびくいわし(英語表記)secretary bird

翻訳|secretary bird

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘビクイワシ」の意味・わかりやすい解説

ヘビクイワシ
Sagittarius serpentarius; secretarybird

タカ目ヘビクイワシ科。1科 1属 1種。全長 112~152cm。タカ類では特殊な脚の長い形態で,頸は長くないが,遠くからだとツル類のように見える。羽色背面灰色で,腹面は白っぽい灰色である。風切と腿,後頭の長い冠羽(→羽冠)が黒く,眼のまわりにオレンジ色の皮膚が裸出している。アフリカサハラ砂漠以南に分布する。サバナ草原にすみ,爬虫類や昆虫類,ネズミ,鳥やその雛,ウサギなどを食べる。和名はヘビを食べることに由来するが,主食ではない。獲物を歩きまわって探すので,ほかのタカ類と違って爪が鋭くない。大きな獲物は長い脚を利用して足でたたいて弱らせてとる。求愛の際には,タカ類によく見られる帆翔しながらの壮大なディスプレイをする。アカシアなどの見晴らしのよい樹冠の上に,直径 2mをこえる巣をつくる。(→ワシ猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘビクイワシ」の意味・わかりやすい解説

ヘビクイワシ
へびくいわし / 蛇喰鷲
secretary bird
[学] Sagittarius serpentarius

鳥綱タカ目ヘビクイワシ科の鳥。この科は、ヘビクイワシ1種だけしかない特殊な科である。アフリカのサハラ砂漠以南に分布する。全長約1メートル、嘴(くちばし)は鋭く曲がる。後頭には十数本の冠羽があり、これが羽根ペンをかつらに挿した中世ヨーロッパの書記官を連想させることから、ショキカンチョウ(書記官鳥)の別名をもつ。足は著しく長い。頭部から体は灰色で、目の周囲は赤く、腰、腹、もも、風切(かざきり)は黒い。中央尾羽は長く伸びて灰色、先端が白くその内側に黒帯がある。草原にすみ、長い足で歩き回って獲物を探す。ヘビ、トカゲ、鳥の雛(ひな)、大形の昆虫、小形の哺乳(ほにゅう)類などをみつけると、近づいて強く踏みつける。一度踏みつけると1メートルぐらい飛びのき、獲物の周囲を回ってふたたび近づき、片足強打を加える。これは毒ヘビを殺すのに安全な方法である。狩りは、つがいや家族でいっしょに行うことが多い。上が平たくなった木の上に止まって眠るのが普通である。繁殖期には縄張りをもって生活する。高木の枝上に小枝で皿形の巣をつくり、2、3日間隔で1腹2、3個の卵を産む。雌だけが抱卵し、抱卵日数は約45日である。

高野伸二


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