翻訳|crown
樹木の枝や葉がつくる冠状の構造。種や樹齢の違いによっていろいろの形となる。また,森林中でどのような種と混生しているか,独立樹となるかによっても形が異なっているが,同じ条件下では種によって樹冠の形はほぼ一定している。樹冠がより集まって森林の外観にさまざまな特徴を描き出すが,それを林相forest physiognomyという。落葉樹では樹冠の中の葉の密度がそれほど高くない場合が多く,内部まで一様に葉がつくのがふつうであるが,常緑樹では葉が樹冠の外側に密につくので光が内部では乏しくなり,内部には葉は少ない。また,森林内では樹冠が平らになることが多く,内部で光が乏しくなるので樹冠が厚くならないのがふつうである。森林の層次構造を決めるのは樹種によることが多いが,各層の樹冠の形が森林内の光の照射量を決めることになり,下生えまで含めた森林の構成を定める要素となっている。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…樹高が少なくとも4~5m以上ある高木が密生し,面積的な広がりをもって地上空間を枝葉で閉鎖したもの。個々の樹木の枝葉が空間を立体的に占有している部分を樹冠crownといい,森林ではこれらが一体となって地上空間を占有して林冠canopyを形成する。森林は樹木の集団(林木)とこれが立っている土地(林地)で構成され,地上,地中を通じて多くの植物,動物,微生物が生活している。…
… 木本植物では,地上部の茎と地下部の根がよく発達している。茎はふつう幹と枝からできており,高木では種によって形の決まった樹冠をつくる。高木が寄り集まってできた植物社会が森林であり,陸地のほとんど半分は森林に占められているが,現在急速に伐開が進められている。…
…樹高が少なくとも4~5m以上ある高木が密生し,面積的な広がりをもって地上空間を枝葉で閉鎖したもの。個々の樹木の枝葉が空間を立体的に占有している部分を樹冠crownといい,森林ではこれらが一体となって地上空間を占有して林冠canopyを形成する。森林は樹木の集団(林木)とこれが立っている土地(林地)で構成され,地上,地中を通じて多くの植物,動物,微生物が生活している。…
※「樹冠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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