ヘビサイド(読み)へびさいど(英語表記)Oliver Heaviside

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘビサイド」の意味・わかりやすい解説

ヘビサイド
へびさいど
Oliver Heaviside
(1850―1925)

イギリスの物理学者、電気工学者。ロンドン生まれ。通信工学の分野では、1902年ごろ大気の上層電磁波を反射するイオン層の存在を予想、この電離層は「ケネリ‐ヘビサイド層」とよばれる。二重通信の可能性の提案などの業績がある。物理学ではマクスウェル電磁波論の研究から運動物体の電気力学を展開し、高速粒子に対し古い質量保存則の不成立に注意するなどの貢献をした。応用数学の面でのベクトル解析への寄与、ヘビサイド演算子法も著名であり、電磁気学の「ヘビサイド単位系」の提案もある。

藤村 淳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘビサイド」の意味・わかりやすい解説

ヘビサイド
Heaviside, Oliver

[生]1850.5.18. ロンドン
[没]1925.2.3. トーケー
イギリスの電気工学者,物理学者。叔父の C.ホイートストンのすすめで独学。電信会社に勤めたが (1870) ,耳が悪くなって退社し (74) ,電気の理論的研究に専念した。独自の数学的表記法である演算子法を使って研究を行なったため,1892年の『電気学論文集』 Electrical Papersは自費出版を余儀なくされたが,そのなかで,電波伝搬,電信に関する先駆的な研究を展開するとともに,マクスウェルの電磁気学理論を首尾一貫した物理学理論へと整理した。 1902年,上層大気中に電磁波を反射する電離層が存在し,このため電波が発散せずに地球の曲面に沿って進行すると予想した。この直後に,同じことをアメリカの A.ケネリーも論じたので,長い間電離層はケネリー=ヘビサイド層と呼ばれていた。

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