アップルトン(読み)あっぷるとん(英語表記)Appleton

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アップルトン」の意味・わかりやすい解説

アップルトン(Sir Edward Victor Appleton)
あっぷるとん
Sir Edward Victor Appleton
(1892―1965)

イギリス物理学者ケンブリッジのセントジョンズ・カレッジを卒業後、J・J・トムソンらの下で研究した。第一次世界大戦で工兵隊電信将校として従軍した際、無線信号が周期的に強弱するフェーディングに注目し、ケンブリッジに戻って研究を始めた。1924年、フェーディングが直接波と電離層反射した波との干渉に基づくことを示し、ヘビサイドらが予想した電離層(E層)の存在を立証した。その後さらに高層の別の電離層(アップルトン層F層)を発見した。この間、1924年にロンドン大学の物理学教授となり、1936年以降はケンブリッジ大学の自然哲学教授。彼が用いた方法はレーダー原理になるなど、その業績は大きい。「上層大気の物理学的研究、とくにアップルトン層の発見」により、1947年ノーベル物理学賞を受賞した。

[山崎正勝]


アップルトン(アメリカ合衆国)
あっぷるとん
Appleton

アメリカ合衆国、ウィスコンシン州東部、フォックス川に臨む都市。人口7万0087(2000)。酪農・牧畜地帯に位置し、豊富な水力を利用した製紙製材金属農業機械など、多くの工業も盛ん。1882年に合衆国最初水力発電が行われた地で、その模型が一般公開されている。1886年には、ここで同州最初の路面電車が走った。ローレンス大学を中心に、教育の盛んな都市としても知られる。

[作野和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アップルトン」の意味・わかりやすい解説

アップルトン
Appleton, Sir Edward Victor

[生]1892.9.6. ブラッドフォード
[没]1965.4.21. エディンバラ
イギリスの物理学者。ケンブリッジ大学卒業後,キャベンディッシュ研究所所員 (1920) ,ロンドン大学教授 (24) ,ケンブリッジ大学教授 (36) ,エディンバラ大学副学長 (49) を歴任。無線通信,電波伝搬,電離層などの研究に業績があり,特に電波の反射に重要な役割を果すF層の発見は有名。彼の研究によってより確実に広範囲の領域に電波を送ることが可能になった。第2次世界大戦中はレーダおよび原子爆弾の開発研究に従事。 1947年ノーベル物理学賞受賞。

アップルトン
Appleton

アメリカ合衆国,ウィスコンシン州東部の都市。ウィネバゴ湖からの流出河川フォックス川の河岸にある。 1847年,ローレンス大学の設立が契機になって発展した。 82年にアメリカで最初の水力発電所ができた。現在のおもな工業は製紙,製材,農機具の製造などである。人口6万 5695 (1990) 。

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