ヘブリディーズ諸島(読み)ヘブリディーズしょとう(英語表記)Hebrides

翻訳|Hebrides

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘブリディーズ諸島」の意味・わかりやすい解説

ヘブリディーズ諸島
ヘブリディーズしょとう
Hebrides

イギリススコットランド西岸沖の大西洋にある島群。ルイス・ハリス島,北ユーイスト島,ベンベキューラ島,南ユーイスト島,バラ島などが弓形に連なる外ヘブリディーズと,スカイ島マル島ジュラ島アイレー島などが散在する内ヘブリディーズの 2島群からなり,両者はミンチ海峡とリトルミンチ海峡によって分けられる。大小 500以上の島からなるが,そのうち人が居住する島は 100以下。8世紀以降ノルウェーの支配下に置かれたが,1266年スコットランド領に編入された。18世紀にジャガイモ栽培の導入と内戦終結から人口が急増したが,しばしば凶作に見舞われ,18世紀末からカナダ,オーストラリアへ多くの移住者を送り出した。手紡ぎ手織りで知られる昔ながらのハリスツイード(→ツイード)は南ユーイスト島と北ユーイスト島が主産地。ルイス島は環状列石をはじめ先史時代の遺跡,遺物に富み,北部のストーノウェー港はニシン漁の根拠地として発展。行政的には外ヘブリディーズはウェスタンアイルズに,内ヘブリディーズの北部はハイランドに,南部はアーガイル・ビュートに属する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘブリディーズ諸島」の意味・わかりやすい解説

ヘブリディーズ諸島
へぶりでぃーずしょとう
Hebrides

イギリス、スコットランド北西岸に連なる諸島。約500の島々からなり、面積7380平方キロメートル、人口約6万。スコットランド本土に近接するスカイ、マル、ジュラアイレーなどの島々からなるインナー・ヘブリディーズ諸島と、リトル・ミンチ海峡を隔てて位置するルーイス、南北ウーイストなどの島々からなるアウター・ヘブリディーズ諸島からなる。島々は北緯55度30分~58度30分にあって大西洋に面するので、冷涼で霧の多い気候下にあり、そのため農耕には適さない。8世紀にノルウェーの支配下に入り、1266年にスコットランド王に譲られたので、地名や風習はスカンジナビア風のものが残っている。隔絶性が強いため、18世紀のチャールズ王子隠遁(いんとん)の史話や、地方色豊かな民話民謡が残されている。諸島の主産業は漁業牧畜、ツイード織で、近年は観光地として脚光を浴びている。

[小池一之]

『藪内芳彦著『島――その社会地理』(1972・朝倉書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android