ベチューン(読み)べちゅーん(英語表記)Noman Bethune

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベチューン」の意味・わかりやすい解説

ベチューン
べちゅーん
Noman Bethune
(1890―1939)

カナダ出身の医師。トロントの生まれ。第一次世界大戦に軍医として参加、復員後小児科医となるが、肺結核療養を経て胸部外科専攻、1935年アメリカ胸部外科学会の正会員となる。同年、当時のソ連の医療事情を調査、1936年カナダ共産党に入る。同年スペイン内戦に人民戦線側の軍医として参加した。1938年1月、中国援助評議会、アメリカ平和民主主義擁護連盟の後援を得て中国に渡り、4月延安に入る。以後、晋察冀(しんさつき)辺区衛生顧問として八路軍に従軍し、1939年11月殉職するまで、前線での治療、病院建設、医師・看護師の養成に大きな貢献をした。毛沢東は彼の国際主義の精神を称えて『ベチューンを記念する』を書き、彼が創始した医学校と病院は、1952年石家荘(せきかそう)に移され、ノーマン・ベチューン国際平和病院となった。カナダ政府は1972年、彼を「国家的、歴史的に重要な」カナダ人に指定した。

[遠藤節昭]

『R・スチュワート著、阪谷芳直訳『医師ベチューンの一生』(1978・岩波書店)』

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