マレーシア,マレー半島北西岸にある小島。ピナンPinang島とも呼ぶ。面積285km2,人口47万6000(1980)。全島が花コウ岩質の山地からなり平地は少ない。最高峰ペナン・ヒルは標高830m。島の北東部にペナン州の州都ジョージタウンGeorgetownがある。ジョージタウンは人口18万0573(2000)。日本領事館があり,一般にはペナンと呼ばれることが多く,人口の70%は中国系で,最も多いのは福建人である。市街地は典型的な華人街の様相を呈し,土地神を祭る慣習が今日も生きている。町中にはインド系の集中地区もあるが,マレー系は市外に居住する者が多い。ペナン港は同島が1786年にイギリスの植民地となって以来,マレーシア第1の貿易港の地位を保っているが,現在は自由貿易港ではなくなったうえ,首都クアラ・ルンプルの外港クランの発展により,輸出入額の対全国比が低下傾向にある。広い土地に乏しいため,近代工業の開発でも対岸のプライ,バターワース両地区に遅れをとり,島の経済活動は停滞ぎみである。ジョージタウンの人口は1970-80年に10%弱減少し,マレーシア第2の都市の座をイポーに奪われた。この退勢を挽回する方策として,海峡を越えて半島と陸路で結ぶ架橋工事が開始された。活況を呈する観光産業は重点を旧市内やペナン・ヒルから北西部海岸へ移し,新興の保養地バトゥ・フェリンギBatu Feringghiに高級ホテル街を出現させ,近隣諸国のみならず日本やヨーロッパから観光客を集めている。国際空港には東京,ホンコン,マニラ,バンコク,シンガポール,メダン,チェンナイ(旧マドラス)の諸都市と結ぶ定期便が発着する。都市化の進行で農業は衰退したが,西部山地には果樹園がなお分布し,19世紀前半に栄えたニクズクの栽培はいまも小規模ながら行われ,島の特産物になっている。文化,教育の面ではジョージタウンは依然国内第2の中心で,理科大学,教員養成専門学校,歴史の古い華人経営の高等中学校があるほか,有力地方紙発行の拠点でもある。
執筆者:太田 勇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
マレーシア本土、マレー半島北西岸に接する島。別称ピナン島。本土とは幅4.4キロメートルの海峡を隔てるにすぎない。面積279平方キロメートル。ほぼ四角形の花崗(かこう)岩からなる丘陵地で、北寄りに高さ900メートルのペナン・ヒルがそびえる。18世紀末まではケダーのスルタン領であったが、マラッカ海峡の北の入口を制する戦略的要点のため、東南アジア進出を目ざすイギリスにより1786年に占拠され、イギリス領とされた。同時にプリンス・オブ・ウェールズ島と改名され、本土に対する東岸に主都ジョージタウン(現ペナン)が建設された。ペナン・ヒルからの展望は絶景で、島は「東洋の宝石」とよばれ、観光客も多い。1985年マレー半島とを結ぶ橋(8.4キロメートル)が完成した。行政的には対岸の一部をあわせてペナン州を形成する。
[別技篤彦]
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…イギリスの貿易商人で,ペナン植民地の建設者。私生児として生まれ,イギリス海軍に勤務したのち,1763年マドラスに赴き,現地商社の代理人となり,70年スマトラのアチェに駐在した。…
※「ペナン島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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