マレーシアの半島部北西,首都クアラ・ルンプルの北約230km(道路距離)にある都市。ペラ州の州都で人口53万7000(2000)。世界屈指のスズ産地キンタ盆地の中心に位置し,1890年代に本格的に始まったスズ鉱山の開発により発展した。とくに,95年に海岸の町テロック・アンソンへ鉄道が通じてから人口増加が著しい。その後ペラ州がゴムの大産地になると,イポーは商業・サービス業の大中心地に成長した。スズの生産は主として中国人労働者の移入で行われたので,今日でも華人人口がきわめて多く,とくに客家(ハツカ)の拠点として有名である。郊外に造成された工業団地には,外資と華商の合弁による企業も出現している。
執筆者:太田 勇
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…これらの先端に塗られる毒はおもに植物や動物から抽出されたものである。アイヌをはじめチュクチ族,ギリヤーク族など東北アジア諸民族,およびヒマラヤ南東部のアッサム,シッキム地方の諸民族によって弓矢に使用されるトリカブト,吹矢で有名なセマン族をはじめマレー半島,ボルネオ,スラウェシ(セレベス),フィリピンに住む諸民族によって使われるイポー毒(アンティアリス属,ストリクノス属の植物),アフリカ赤道付近の諸民族に使われるストロファントゥス属の植物,南米のアマゾン川,オリノコ川流域諸民族のクラーレ毒(ストリクノス属,コンドデンドロン属の植物)などがその代表である。動物毒は植物毒ほど多様ではなく補助的に用いられることもあるが,有毒動物からの抽出液が使用される。…
…ギリシア語では弓矢をトクソンtoxonというが,その中性の形容詞形トクシコンtoxikonは,すでに古代ギリシアにおいて〈矢毒〉の意味で用いられており,毒矢の歴史の古さを示している(ドイツ語で〈毒〉を意味するトクシクムToxikumも,この語に由来)。用いられる毒物の種類は多いが,地域によって明確な違いがあり,南アメリカではクラーレ,東南アジアではクワ科のAntiaris toxicariaの乳状の樹液イポー(ヒポー,ウパスとも呼ぶ)が用いられる。アフリカではキョウチクトウ科の植物が中心であり,Tanghinia veneniferaの種子から採るタンギン(ケルベラ・タンギンともいう),Strophanthus gratusの種子やAcocanthera schimperiなどの樹皮・樹幹から採るウワバイン,Strophanthus hispidusの種子から採るケルベラ,マメ科でフジに近縁のPhysostigma venenosumの種子であるカラバル豆などが用いられる。…
※「イポー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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