ペルチエ(読み)ぺるちえ(英語表記)Jean Charles Athanase Peltier

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルチエ」の意味・わかりやすい解説

ペルチエ
ぺるちえ
Jean Charles Athanase Peltier
(1785―1845)

フランスの物理学者ハムという村の貧しい靴職人の家庭に生まれる。初等教育を受けたのち、時計製造業に従事した。妻の母の死に伴いその遺産を得て学問を志した。初め医学を学んだが、神経の電気刺激の現象を知って以後電気の研究に進んだ。1834年に、アンチモンビスマスの接合部分を電流が通る際に、その部分で熱の発生あるいは吸収がおこる現象を発見した。「ペルチエ効果」とよばれるこの現象は、のちにW・トムソン(ケルビン)によって熱力学的に解明された。そのほか顕微鏡による微生物の研究、大気電気などの気象学の研究を行った。パリ死去

[井上隆義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルチエ」の意味・わかりやすい解説

ペルチエ
Pelletier, Pierre-Joseph

[生]1788.3.22. パリ
[没]1842.7.19. パリ
フランスの化学者。薬物学者であった父にならって,パリの薬学校に学び,同校の薬物学助教授 (1815) ,同教授 (25) 。パリ医学アカデミー会員 (20) 。科学アカデミー会員 (40) 。初めゴム樹脂の研究に着手エメチンの発見 (17) が知られる。その後,義弟 J.B.カバントゥの助力を得ておもにアルカロイドの研究にたずさわり,キニーネの発見 (20) をはじめ,ブルチン,カフェインなど多くの植物アルカロイドの抽出単離に成功。また燃焼分析によってアルカロイド中の窒素の存在を確定し,当時のアルカロイド研究を飛躍的に発展させた。この功績により 1827年に科学アカデミーからモンティヨン賞を受けた。

ペルチエ
Peltier, Jean-Charles-Athanase

[生]1785.2.22. アム
[没]1845.10.27. パリ
フランスの物理学者,気象学者。 30歳で時計職人から転向して,科学の実験研究を始めた。 1834年に異種金属の接触部分で,電流によって温度差が生じる現象 (ペルチエ効果 ) を発見,その後の温度測定技術,冷却技術に革新をもたらした。また 40年の静電誘導によって導体を帯電させる技術の開発でも知られる。ほかに空中電気竜巻,高度による沸点降下の現象の研究もある。

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