日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルチエ」の意味・わかりやすい解説
ペルチエ
ぺるちえ
Jean Charles Athanase Peltier
(1785―1845)
フランスの物理学者。ハムという村の貧しい靴職人の家庭に生まれる。初等教育を受けたのち、時計製造業に従事した。妻の母の死に伴いその遺産を得て学問を志した。初め医学を学んだが、神経の電気刺激の現象を知って以後電気の研究に進んだ。1834年に、アンチモンとビスマスの接合部分を電流が通る際に、その部分で熱の発生あるいは吸収がおこる現象を発見した。「ペルチエ効果」とよばれるこの現象は、のちにW・トムソン(ケルビン)によって熱力学的に解明された。そのほか顕微鏡による微生物の研究、大気電気などの気象学の研究を行った。パリで死去。
[井上隆義]