日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルテス病」の意味・わかりやすい解説
ペルテス病
ぺるてすびょう
代表的な骨端炎の一つで、成長期にある小児股(こ)関節に発症し、大腿(だいたい)骨頭が無腐性の壊死(えし)をおこして扁平(へんぺい)になる疾患をいい、扁平股(こ)ともいう。1910年ドイツの整形外科医ペルテスGeorg Clemens Perthes(1869―1927)が若年性変形性骨軟骨炎として初めて記載したが、別に同年、アメリカのレッグとフランスのカルベも報告しており、レッグ‐カルベ‐ペルテス病Legg-Calvé-Perthes diseaseともよばれる。
徐々に発症してくる慢性疾患で、男児に多く3歳から12歳にわたってみられるが、4~7歳が好発年齢である。初発症状は股関節部や膝(しつ)関節部にみられる痛みと跛行(はこう)(足を引きずって歩く)であるが、成人の大腿骨頭壊死とは異なり、最終的には修復されて疼痛(とうつう)も消失する。しかし、放置すればいろいろな変性を残して変形性関節症の原因となる。他覚的には、股関節の外転と下肢を内側にひねる内旋が十分にできない。大腿骨頭にかかる負担を軽くする外転免荷装具などを1年前後つけ、その後1年くらい経過を観察する。なお、亜脱臼(だっきゅう)をおこしてくる予後の悪い症例に対しては大腿骨骨切り術などを行うこともある。
[永井 隆]