日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホエザル」の意味・わかりやすい解説
ホエザル
ほえざる / 吠猿
howler monkey
哺乳(ほにゅう)綱霊長目オマキザル科ホエザル属に含まれる動物の総称。この属Alouattaの仲間は特殊な発声器官をもち、1キロメートル以上離れていても聞こえるほどの大長声を発する。5種に分けられることが多い。オマキザル科では大形のほうで、雄の体重は約7.5キログラム、頭胴長は46~72センチメートル。雌はこれより小さい。メキシコ南部からアルゼンチン北部に至る範囲に濃い分布を示す。熱帯多雨林がおもな生息地であるが、より乾燥した植生環境にもみられる。オマキザル科のなかでは葉食の傾向がもっとも強いが、そのための消化器官の特殊化はみられず、果実や花の多い時期、また多い土地ではそれらをよく食べる。数頭から十数頭の群れで暮らすが、マントホエザルA. palliataではしばしば20~30頭余のより大型の群れがみられる。
[西邨顕達]