ホトケノザ(読み)ほとけのざ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホトケノザ」の意味・わかりやすい解説

ホトケノザ
ほとけのざ / 仏の座
[学] Lamium amplexicaule L.

シソ科(APG分類:シソ科)の越年草。茎は下部で分枝して立ち上がり、高さ10~30センチメートル。葉は対生し、茎の下部のものは葉柄があるが、上部ではなく、半円形で縁(へり)に浅い鋸歯(きょし)状の切れ込みがあり、相対して茎を車座に抱く。名は、この葉の状態を仏座に例えたもの。また、葉が数段になるのでサンガイグサ(三階草)の名もある。春、葉腋(ようえき)に筒状唇形で長さ1.7~2センチメートルの紅紫色花をつけるが、多くは閉鎖花となって、つぼみの状態のままで開かないで結実するものが多い。畑や道端に生え、ユーラシア大陸、アフリカ北部に広く分布し、北アメリカに帰化する。なお、春の七草のうちのホトケノザは本種ではなく、キク科のコオニタビラコだといわれる。ところが、京都冷泉(れいぜい)家に残る、春の七草を書いた掛軸にあるのはオオバコであり、異説もある。

村田 源 2021年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホトケノザ」の意味・わかりやすい解説

ホトケノザ(仏の座)
ホトケノザ
Lamium amplexicaule; henbit

シソ科の二年草。ヨーロッパ,アジア大陸の温帯から暖温帯に広い分布をもつ。日本では北海道を除く各地の畑やそのまわりに生える雑草で特に麦畑で目立つ。茎は4稜で基部は地に倒れて枝分れするが,大部分は直立して高さ 20~30cmとなる。葉は対生し半円形で下部のものには柄があるが,上部では左右の葉が接して茎を抱く。春に,上部の葉腋に紅紫色で細長い花筒のある唇形花を輪状につける。花は鮮かで可憐であるが,閉鎖花となることが多い。春の七草でいうホトケノザは本種とはまったく別種で,キク科のコオニタビラコをさす。

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