ホルテンシウス法(読み)ホルテンシウスホウ(その他表記)Lex Hortensia

デジタル大辞泉 「ホルテンシウス法」の意味・読み・例文・類語

ホルテンシウス‐ほう〔‐ハフ〕【ホルテンシウス法】

前287年、ローマ独裁官ホルテンシウス(Q.Hortensius)が提案して成立させた法律平民会議決された法案は、元老院承認がなくても全市民を拘束する法となることを定め、貴族平民の身分闘争を終結させた。

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精選版 日本国語大辞典 「ホルテンシウス法」の意味・読み・例文・類語

ホルテンシウス‐ほう‥ハフ【ホルテンシウス法】

  1. ( [ラテン語] Lex Hortensia の訳語 ) 古代ローマの法の一つ。紀元前二八七年、古代ローマの独裁官ホルテンシウスにより発布された法。パトリキ(貴族)対プレブス(平民)の身分闘争に終止符を打ったもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「ホルテンシウス法」の意味・わかりやすい解説

ホルテンシウス法 (ホルテンシウスほう)
Lex Hortensia

前287年ローマのディクタトル,ホルテンシウスが制定させた法。これ以前,平民会は全国民ではなく平民だけの集会だったので,そこでの議決は全国民に対し法的拘束力をもたなかったが,この法によって平民会の議決は全国民を拘束するものとなった。かくしてパトリキ(世襲貴族)とプレブス(平民)との身分闘争は終りを告げたが,新貴族層(ノビリタス)がすでに形成されており,ローマ国家の完全な民主化は達成されなかった。
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百科事典マイペディア 「ホルテンシウス法」の意味・わかりやすい解説

ホルテンシウス法【ホルテンシウスほう】

古代ローマの法律。前287年ディクタトルのホルテンシウスHortensiusが提案。それまで法律制定には元老院の議決を必要としていたが,この法律により平民会が独自の立法権を獲得し,貴族(パトリキ)と平民(プレブス)の階級闘争に一応の終止符が打たれた。
→関連項目民会

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ホルテンシウス法」の解説

ホルテンシウス法(ホルテンシウスほう)
Lex Hortensia

古代ローマの法の一つ。前287年ディクタトルのホルテンシウスが提案,成立させた法。平民会が国家の正式な民会と認められ,その議決は元老院の承認を得ることなく,そのまま全市民を拘束する法となることを定めた。パトリキプレブスの身分闘争に終止符を打った法。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホルテンシウス法」の意味・わかりやすい解説

ホルテンシウス法
ほるてんしうすほう
Lex Hortensia ラテン語

古代ローマの法律。紀元前287年、平民が市外退去(セケッシオ)して貴族と対立したとき、ディクタトル(独裁官)に指名されたホルテンシウスQuintus Hortensius(生没年不詳)は、平民会決議を全国民に対する拘束力をもつものとする法律を成立させ、これによって、共和政期前半絶えず対立を続けた貴族と平民の間の身分闘争を最終的に終結させた。これ以後、平民会はトリブス民会とほとんど区別のないものとなり、とくに立法民会としてしだいに重要性を増した。

[弓削 達]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホルテンシウス法」の意味・わかりやすい解説

ホルテンシウス法
ホルテンシウスほう
Lex Hortensia

前 287年ローマの独裁官 (ディクタトル ) Q.ホルテンシウスが定めた法。プレプス (平民) の反乱に際し,平民会の決議をそのまま国法とすることが定められた。この結果パトリキ (貴族) とプレプスとの身分闘争に終止符が打たれた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ホルテンシウス法」の解説

ホルテンシウス法
ホルテンシウスほう
Lex Hortensia

前287年,ディクタトル(独裁官)のホルテンシウスによって制定された古代ローマの法律
ローマの民会の1つである平民会の議決が,元老院の承認なしに全ての市民に有効となることを定めており,ここにパトリキ(貴族)とプレブス(平民)との闘争は一区切りがついた。

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世界大百科事典(旧版)内のホルテンシウス法の言及

【ローマ】より

…民会は兵員会のほかに,同じ全市民民会でトリブス単位で2票(若者組と老年組が各1票)を投ずるトリブス(区)民会があった。 平民はこの両民会に出席するほか,平民会をも国家全体を拘束する決議機関とすることを目ざし,前287年のホルテンシウス法によってこれを達成した。この法律で貴族と平民の間の身分闘争は終結したが,それまでに十二表法の制定(前451‐前450)やさまざまな法律によって平民の立場はしだいに上がってきていた。…

※「ホルテンシウス法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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