ホーナイ(読み)ほーない(英語表記)Karen Horney

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホーナイ」の意味・わかりやすい解説

ホーナイ
ほーない
Karen Horney
(1885―1952)

アメリカの心理学者。ドイツハンブルクに生まれる。1913年ベルリン大学で医学学位をとる。1932年アメリカに渡り、のち帰化。フロムサリバンなどとともに新しい精神分析の研究機関をつくり、新フロイト派の推進役を務める。フロイトの精神分析を生物学的、機械論的であると批判し、文化的影響を強調。また、神経症根源は、幼児期の基本的不安に基づくものと考える。女性の心理にも関心が強く、フロイトの去勢コンプレックスを中心にした女性論を男根中心主義と批判し、のちの女性解放運動に大きな影響を与えた。

[外林大作・川幡政道]

『ダグラス・イングラム編、近藤章久訳『ホーナイの最終講義――精神分析療法を学ぶ人へ』(2000・岩崎学術出版社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホーナイ」の意味・わかりやすい解説

ホーナイ
Horney, Karen

[生]1885.9.16. ハンブルク
[没]1952.12.4. ニューヨーク
ドイツ生まれのアメリカの女性精神分析学者。旧姓 Danielsen。父はノルウェー人,母はオランダ人。 1912年ベルリン医科大学を卒業。在学中に K.アブラハムのもとで精神分析法の訓練を受けた。診療のかたわらベルリン精神分析所の訓練分析医として活躍し,精神病治療の分野で有名になり,1932年渡米 (1938帰化) ,シカゴ精神分析研究所副所長。 1934年からニューヨークで開業するとともにニューヨーク精神分析研究所,社会研究学校で教え,精神分析医を養成した。 1939年に『新精神分析法』 New Ways in Psychoanalysisを著わしてパーソナリティ形成に社会的および環境的要因の重要性を強調し,S.フロイトの生物学的な汎性欲説を批判した。このためにフロイト正統派の批判を買い,1941年に新たに精神分析振興協会を設立した。彼女は神経症発生の主因を資本主義社会機構におき,女性の歴史的,社会的な従属的地位についても先駆的研究がある。

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