ボコーダー(英語表記)vocoder

翻訳|vocoder

デジタル大辞泉 「ボコーダー」の意味・読み・例文・類語

ボコーダー(vocoder)

《voice(声)+encoderエンコーダー)からの造語》人の声を周波数別にエンコード符号化)して、機械的に音声を再合成すること。本来は通信用の帯域圧縮技術だが、音楽制作用のエフェクターとしても用いられている。

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改訂新版 世界大百科事典 「ボコーダー」の意味・わかりやすい解説

ボコーダー
vocoder

ボイスコーダーvoice coderの略。音声分析・合成法の一種で,1940年にアメリカのベル電話研究所で考案された。

電話品質の音声信号を伝送するには一般に300~3400Hzの周波帯域が必要となる。より狭い帯域幅で音声信号を伝送することは通信工学の夢であった。ボコーダーの原理は,音声波形を,主として音の高さをあらわすピッチ成分,音韻情報を伝えるスペクトル分布,アクセントやイントネーションを伝える音源強度などいくつかの成分に分解し,これらの成分情報から原音声を再構成しようとするものである。音声を多数の狭帯域フィルターでろ波して,その出力強度を伝送するチャンネルボコーダー,ホルマント成分を抽出して伝送するチャンネルボコーダーなどがある。さらに最近はLPC法やPARCOR法などの新しい方式も考案されているが,これらは必ずしもボコーダーに含めない場合もある。当初は軍用,秘話用などの特殊目的の狭帯域通信用に研究されてきたが,ディジタル通信の発達とともに,広く一般電話にまでその適用範囲が広がり,さらにコンピューターを用いた音声合成にも広くこの原理が利用されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボコーダー」の意味・わかりやすい解説

ボコーダー
ぼこーだー
vocoder

広義には、音声波形の情報を分析によって音源と調音の情報に分解して伝送もしくは記憶し、それらからふたたび音声波形を合成するシステムをいう。狭義には、その調音情報の分析抽出法として多数のフィルター群によるスペクトル分析手法を使うものをいう。たとえば、中心周波数の異なる多数の帯域通過フィルターを並べて分析し、その出力強度を調音情報とする。同じフィルター群の音源による励振出力を調音情報で変調し、加え合わせて合成するというのがもっとも原理的な形で、これをチャネルボコーダーという。ボコーダーの原理は今日の音声合成・音声認識の基本をなす発明であり、1939年アメリカのベル電話研究所のダッドレーHomer Dadleyによって発明された。

[中田和男]

『中田和男著『音声の合成と認識』(1980・総合電子)』


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百科事典マイペディア 「ボコーダー」の意味・わかりやすい解説

ボコーダー

ボイスコーダーvoice coderの略。音声伝送の一方法。チャンネル形とフォルマント形がある。前者は音声を部分帯域に分割し(10組程度),各帯域内の平均エネルギーの変動特性を伝送する。後者は音声のフォルマント成分だけを伝送する。電話に比べて10分の1くらいの帯域幅でよいのが利点音声合成にも利用される。

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音楽用語ダス 「ボコーダー」の解説

ボコーダー [vocoder]

本来、キーボード用として開発されたエフェクターだが、ヒントは漁業無線にルーツがある。ロボットボイスを作り出す装置。マルチ・エフェクターに組み込まれていることもある。入力は二つ。音声と、楽器入力だ。マイクで声を入れ、ギターかキーボードを弾く。そうするとロボットボイスが合成されるのだ。現在ではギターでも簡単に演奏ができる。いわゆるテクノボイスだ。

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