日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボヘミア・ガラス」の意味・わかりやすい解説
ボヘミア・ガラス
ぼへみあがらす
Bohemian glass
ヨーロッパ中部のボヘミア地方(チェコ)のガラス製品。この地方では14世紀ごろからガラス窯が開かれ、16世紀の末、イタリアのソーダ灰のかわりに、ポーランドのシュレージエン地方の森林から得る木灰をアルカリ源として高度の透明度をもつ良質のクリスタルガラスを産出した。皇帝ルドルフ2世はボヘミアのプラハを居城としてガラス工芸を保護奨励した結果、ボヘミア・ガラスの名声はイタリアのベネチア製品をしのいでヨーロッパ中に広まった。首都のウィーン移動や数度の戦乱による打撃で一時衰退したが、19世紀に復興、現在に至っている。製品にはカッティングやエングレービングによるクリスタルガラス、また2層のガラスの間に金箔(きんぱく)を挟み図柄を刻んだ金サンドイッチガラスがある。
[友部 直]