ボルボックス(読み)ぼるぼっくす

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボルボックス」の意味・わかりやすい解説

ボルボックス
Volvox

緑藻類オオヒゲマワリ目オオヒゲマワリ科の藻類。オオヒゲマワリともいう。休耕水田など日当りよく水の動きの激しくない場所に発生する。 10種以上知られており,全世界に分布する。藻体は直径 0.5mm,大きなものでも 1mmほどの球状体で,肉眼ではわずか緑色の粉のようにみえる。球体は薄い膜から成りもろく,力を加えるとこわれやすい。その中に微小の細胞が多数 (ときに 1000以上になる) 並んで群体を形成している。この細胞はそれぞれ2鞭毛,1核,1眼点を有し,各細胞は互いに細い原形質糸で連絡している。球状の藻体は細胞の分裂による増加とともに大きくなるが一定の大きさに達すると,球面はいくつかの細胞とともに球体内部の腔内に陥入して,新しい球体をつくる。このような腔内の若い藻体を娘体というが,一つの球体内に数個も数えられることがあり,それぞれ腔内で生長し,最終的には親の体を破って外に出て新個体となる。また特殊な細胞が同様に腔内に陥入し,3~9個の卵子を生じる生卵器,または 16~32個の紡錘形で2頂毛を有する精子を生じる造精器となることが知られている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルボックス」の意味・わかりやすい解説

ボルボックス
ぼるぼっくす
[学] Volvox

緑藻植物、緑藻類の一属の総称。淡水産の藻類で、クラミドモナス型の2本の鞭毛(べんもう)をもつ細胞が多数集まって、美しい球形の群体をつくるのでよく知られる。また、教材としてもたびたび利用される。オオヒゲマワリの和名もあるが、ボルボックスのほうが一般的である。日本では、約500の細胞からなるボルボックス・オーレウスV. aureus Ehr.、約1万の細胞からなる大形のボルボックス・グロバータV. globator L.など数種が知られているが、どこにでも出現するわけではなく、毎年発生する場所が限られているようである。なお、クラミドモナス―クワノミモ―ユードリナ―ボルボックスという一連系列は、藻類の進化を証明する好例とされている。

小林 弘]

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