日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボンヌフォア」の意味・わかりやすい解説
ボンヌフォア
ぼんぬふぉあ
Yves Bonnefoy
(1923― )
フランスの詩人。美術批評家、シェークスピア翻訳家としても知られる。トゥールに生まれる。シュルレアリスムの影響下に詩作を始めたが、詩集『ドゥーブの動と不動』Du mouvement et de l'immobilité(1953)で一躍注目を集め、第二次世界大戦後のもっとも重要な詩人の一人と認められた。ヘーゲル、ハイデッガーの哲学、ボードレール、ジューブの詩の影響を受け、重層的で暗示に富む語法を特徴とするその作品は、死と有限の自覚をもとに純粋な現存を目ざす困難な探索を主題としている。1981年コレージュ・ド・フランス教授に就任、フォルマリスム、記号論への批判を展開する。ほかに『昨日は荒涼として支配して』(1958)、『文字で書かれた石』(1959)、『閾(しきい)の罠(わな)のなかで』(1975)、『光なしに在ったもの』Ce qui fut sans lumière(1987)、『雪のはじまりと終わり』Début et fin de la neige(1991)、『さまよう生』La Vie errante(1993)などの詩集、『不確かなもの』(1959)、『アルチュール・ランボー』(1961)、『マントバでみた夢』(1967)、『ローマ1630年』(1970)、『背後の国』(1972)、『赤い雲』(1977)、『ことばの真実』La Vérité de parole(1988)、『アルベルト・ジャコメッティ』Alberto Giacometti(1991)、『デッサン、色彩、光』Dessin, couleur et lumière(1995)などの評論がある。
[田中淳一]
『宮川淳訳『ボンヌフォア詩集』(1975・思潮社)』▽『清水茂訳『イヴ・ボヌフォワ詩集』(1993・小沢書店)』▽『阿部良雄訳『ランボー』(1977・人文書院)』▽『阿部良雄・兼子正勝訳『現前のイマージュ』(1985・朝日出版社)』▽『清水茂訳『ジャコメッティ作品集』(1993・リブロポート)』