ボールズ(読み)ぼーるず(英語表記)Paul Frederic Bowles

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボールズ」の意味・わかりやすい解説

ボールズ(Paul Frederic Bowles)
ぼーるず
Paul Frederic Bowles
(1910―1999)

アメリカの小説家。ニューヨーク州生まれ。初め作曲家を志し、劇、オペラバレエなどの作曲を試みたが、のち小説に転じ、『天をさえぎるもの』(1949)、『雨は降らせよ』(1952)、『蜘蛛(くも)の家』(1955)など、モロッコを中心とする北アフリカを舞台にし、異国情緒のなかに複雑な人間心理のあやを織り込んだ実存主義的作品を発表した。ほかに、短編集、紀行文翻訳自叙伝『止まるを知らず』(1972)など。また、『天をさえぎるもの』は『シェルタリング・スカイ』の名でイタリアの映画監督ベルナルド・ベルトルッチにより1990年に映画化された。

[平野信行]

『四方田犬彦訳『ポール・ボウルズ作品集』全6巻(1993~95・白水社)』『『シェルタリング・スカイ』(新潮文庫)』


ボールズ(Chester Bliss Bowles)
ぼーるず
Chester Bliss Bowles
(1901―1986)

アメリカの政治家外交官マサチューセッツスプリングフィールド生まれ。エール大学卒業。1929年にニューヨークで広告会社を設立。1943年から戦時生産局に加わり、1946年2月にはトルーマン政権の経済安定本部長官に就任し、ニューディーラーとして活躍。1948年コネティカット州知事に当選。1951~1953年駐インド大使。1959~1961年コネティカット州選出下院議員。1961年1月ケネディ政権発足とともに国務次官に就任し、同年末からはアフリカアジア・ラテンアメリカ問題大統領顧問を歴任。1963年初頭から1969年までふたたび駐インド大使を務めた。

藤本 博]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボールズ」の意味・わかりやすい解説

ボールズ
Bowles, Paul Frederick

[生]1910.12.30. アメリカ,ニューヨーク
[没]1999.11.18. モロッコ,タンジール
アメリカの小説家,作曲家。 16歳のときからパリでシュルレアリスムの詩を出版。 19歳のとき A.コープランドに作曲を学び,舞台音楽や映画音楽を発表,音楽批評も手がけた。 1947年モロッコに移住し,砂漠のあやしい魅力にとらえられた白人夫妻を描く小説『天蓋』 The Sheltering Sky (1949) ,『雨は降らせろ』 Let It Come Down (52) ,『蜘蛛の家』 The Spider's House (59) ,短編集『歓迎されぬ言葉』 Unwelcome Words (88) などの作品を発表,実存主義作家,「失われた世代」の代弁者として認められた。ほかに自伝『立止まらずに』 Without Stopping (72) ,詩集『さまざまな情景』 Scenes (68) など。また口承の物語を記録し,アラビア語から英語に翻訳した。夫人 J.ボールズも特異な作風の小説家である。

ボールズ
Bowles, Chester (Bliss)

[生]1901.4.5. マサチューセッツ,スプリングフィールド
[没]1986.5.25. コネティカット,エセックス
アメリカの政治家。 1924年エール大学卒業。 29年友人 W.ベントンと広告会社を経営。その後コネティカット州政府勤務を経て,連邦政府経済安定本部長などをつとめた。 47~48年国連勤務。 48~50年コネティカット州知事,51年インド駐在大使,53年下院議員。 J.ケネディ大統領の選挙参謀となり,61年同大統領によって国務次官に任命された。その後も L.ジョンソン大統領特使としてカンボジア紛争で活躍。 63~69年再びインド駐在大使。著書に"Makings of a Just Society" (1963) ,"Promises to Keep: My Years in Public Life" (71) がある。

ボールズ
Bowles, William Lisle

[生]1762.9.24. ノーサンプトンシャー,キングズサットン
[没]1850.4.7. ソールズベリー
イギリスの詩人,聖職者。オックスフォード大学卒業。 14編のソネットを収めた『ソネット集』 Sonnets (1789) はワーズワス,コールリッジらに大きな影響を与えた。

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