日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポーギーとベス」の意味・わかりやすい解説
ポーギーとベス
ぽーぎーとべす
Porgy and Bess
アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュインのオペラ。全3幕。1935年に完成し、同年ボストンで初演された。アメリカ南部の貧民街に住む黒人たちの生活を描いたデュボーズ・ヘイワードEdwin DuBose Heyward(1885―1940)の小説『ポーギー』をもとに、ヘイワード自身と作曲者の兄アイラ・ガーシュインIra Gershwin(1896―1983)が台本を書いたもので、黒人霊歌の旋律やジャズの手法をふんだんに取り入れているという点で、オペラ史上に独自の地位を築いている。純情な黒人ポーギーは、ならず者クラウンの情婦ベスをかくまって以来恋仲となるが、ベスを取り戻しにきたクラウンと争ったすえに彼を刺殺してしまう。ポーギーは警察に連行され、絶望したベスは麻薬売りの甘いことばに従ってニューヨーク行きの船に乗る。そして、釈放されたポーギーもベスの後を追ってニューヨークに旅立つ。このオペラは全編親しみやすい旋律に彩られているが、ことに漁師の妻クララが歌う「サマータイム」は、のちに世界的なヒット曲となった。
[三宅幸夫]