改訂新版 世界大百科事典 「ポーギーとベス」の意味・わかりやすい解説
ポーギーとベス
Porgy and Bess
ガーシュウィンがヘイワードDu Bose Heywardの小説《ポーギー》をもとに,1934-35年に作曲した3幕9場のオペラ。台本はD.B.ヘイワードとドロシー・ヘイワード,作詞はD.B.ヘイワードおよび作曲者の兄のアイラ・ガーシュウィンIra G.。35年9月ボストンのコロニアル劇場で初演,翌月ニューヨーク,ブロードウェーのアルビン劇場で初演。1930年代のサウス・カロライナ州チャールストンの貧しい黒人社会を舞台に,足が悪く気のいい乞食ポーギーと沖仲士の元情婦ベスとの悲恋を描く。この作品は,チャールストンの黒人教会で黒人音楽を徹底的に研究したガーシュウィンがその音楽語法を驚くほど自在に駆使することに成功しており,作曲者自ら〈アメリカ民俗オペラ〉と呼ぶ新しいジャンルを切り開いた。その新しさゆえに初演は失敗に終わったが,作曲者の死後,舞台上演のほかに映画(1959)やバレエでも上演された。第1幕の子守歌《サマー・タイムSummer Time》,第2幕のバンジョーを伴奏に歌う《くたびれもうけOh,I Got Plenty O'Nuttin'》などの主要曲のヒットによって人気を得て今日にいたっている。
執筆者:小場瀬 純子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報