マイトマイシンC(読み)まいとまいしんしー(英語表記)mitomycin C

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイトマイシンC」の意味・わかりやすい解説

マイトマイシンC
まいとまいしんしー
mitomycin C

東京・渋谷区の土壌から抽出された放線菌の一種であるStreptomyces caespitosus V-621株より得られた抗悪性腫瘍(しゅよう)性抗生物質。青紫色の結晶または結晶性粉末で、抗細菌作用も有する。癌腫(がんしゅ)、肉腫白血病ホジキン病および悪性絨毛(じゅうもう)上皮腫の自覚的および他覚的寛解を適応症とする。1日1回1~2ミリグラムを連日静脈注射または動脈注射する。副作用として出血傾向、食欲不振、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、全身倦怠(けんたい)、発熱、肝障害、白血球減少、血小板減少などがみられる。一アンプル2ミリグラム力価、錠剤は一錠1ミリグラム力価含有。そのものは毒薬で、極量は1回20ミリグラム力価(静脈内)。1個中2ミリグラム力価以下を含有するものは劇薬である。

[幸保文治]

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