日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイブリッジ」の意味・わかりやすい解説
マイブリッジ
まいぶりっじ
Eadweard Muybridge
(1830―1904)
イギリス出身のアメリカの写真家。湿板写真術を習得して、1852年に渡米、西部開拓の調査と記録の仕事につく。78年、元カリフォルニア州知事L・スタンフォードの依頼で、速足で走る馬の脚が空中でどのようになっているかを調べるため、多数の湿板カメラと自動シャッターをセットした特設馬場に馬を走らせ、史上初の動体の分解写真を撮影した。ついで人体や動物の動体を同様の方法で撮影、87年には『Animal Locomotion』と題した写真集を出版した。このマイブリッジの業績は、同時期、フランスで同種の実験を進めていたマレーの研究成果とともに、絵画表現をはじめ動物学・生理学の世界に至るまでさまざまな反響をよんだ。これはまた、時間経過の視覚表現を達成したものであり、後の映画の発明に寄与した。
[平木 収]