マメザクラ(読み)まめざくら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マメザクラ」の意味・わかりやすい解説

マメザクラ
まめざくら / 豆桜
[学] Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa
Prunus incisa Thunb.

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木または小高木。富士山、箱根山に多くみられるので、フジザクラハコネザクラともいう。細い小枝をよく分枝する。葉は互生し、倒卵形で長さ3~5センチメートル、先は鋭くとがり、縁(へり)に欠刻状の重鋸歯(じゅうきょし)があり、両面葉柄にすこし毛がある。3~5月、葉に先だって、ヤマザクラより小さな、径2~2.5センチメートルの花を1~3個集めて開く。萼片(がくへん)に鋸歯はなく、小花柄に毛を散生する。果実は小球形、6月に赤色から紫黒色に熟す。関東地方南部、甲信地方から静岡県に分布する。

 品種リョクガクザクラは、萼、小花柄、若葉が鮮緑色で、花弁は純白である。また中部地方以西の本州には、変種キンキマメザクラが分布する。

小林義雄 2020年1月21日]


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百科事典マイペディア 「マメザクラ」の意味・わかりやすい解説

マメザクラ

バラ科の落葉小高木。中部・関東地方の低山〜亜高山に分布し,特に富士山周辺に多いのでフジザクラの名もある。よく分枝し,全体多少の斜上毛がある。葉は倒卵形で重鋸歯(きょし)があり,長さ3〜5cm,基部にやや大きな1対の腺がある。春,花は葉よりわずか先か同時に開き,1〜3個が散形状につき,径1.5〜2cm。花弁は5枚で白色淡紅色。中部〜中国地方には,変種のキンキマメザクラが分布する。
→関連項目サクラ(桜)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マメザクラ」の意味・わかりやすい解説

マメザクラ(豆桜)
マメザクラ
Prunus incisa

バラ科の落葉小高木。フジザクラともいう。本州の中部地方,特に富士箱根山塊に特産する。幹は高さ3~5mでよく分枝する。葉は長さ3~5cmの卵形で両面にまばらな毛があり,縁には大きな重鋸歯がある。4~6月頃,葉が伸びる前に中型の散形花序をつけ,1~3個の白色または淡紅色の花をつける。葉の基部には蜜腺がある。核果は小さな球形で初夏に黒紫色に熟する。

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改訂新版 世界大百科事典 「マメザクラ」の意味・わかりやすい解説

マメザクラ

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世界大百科事典(旧版)内のマメザクラの言及

【サクラ(桜)】より

…一般にサクラと総称しているものは,主として北半球の温帯と暖帯に分布しているバラ科サクラ属サクラ亜属の主として落葉性の樹木で,花がいっせいに開花して美しいものが多く,広く観賞されている。日本にはヤマザクラ,オオヤマザクラをはじめ,カスミザクラ,オオシマザクラ,マメザクラ,エドヒガン,チョウジザクラ,ミヤマザクラ,タカネザクラなど10種類ほどの自然種を基本として,変種や品種をあわせると約100ほどの種類が野生している。サクラ類の多くは陽樹で,しかも二次林を構成する生長の速い種が多いため,人家で栽植するにも好適であり,これらの野生種から多数の園芸品種が育成され,その数も200から300といわれる。…

※「マメザクラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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