マーキュロクロム(読み)まーきゅろくろむ(英語表記)mercurochrome

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーキュロクロム」の意味・わかりやすい解説

マーキュロクロム
まーきゅろくろむ
mercurochrome

殺菌消毒剤、有機水銀化合物。青緑色ないし帯緑赤褐色の小葉状または粒状で、においはなく、水によく溶け、水溶液は赤色を呈し、黄緑色の蛍光を発する。一般に2%水溶液をマーキュロクロム液といい、俗に「赤チン」とよぶ。刺激性のない緩和な消毒剤として皮膚粘膜に塗布する。水銀イオンが解離して殺菌作用を現すが、殺菌作用はあまり強くない。皮膚・粘膜の消毒のほか、創面の消毒はもとより、洗浄、点眼・洗眼にも用いられたことがある。刺激性のないこと、金属を腐食しないことが利点であるが、着色が強いのが欠点である。水銀化合物であるので、製造時における公害が問題となり、日本では製造されていない。使用量も激減している。ヨードチンキとの併用は水銀が析出するので避けなければならない。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーキュロクロム」の意味・わかりやすい解説

マーキュロクロム
mercurochrome

消毒薬として使われる有機水銀化合物メルブロミンとも呼ばれる。2%ほどの水溶液が,皮膚,粘膜,創面などの家庭用消毒薬として使用され,赤チンと通称された。水銀が 24~26.7%含まれている。刺激がないのが特徴で,日本薬局方ヨードチンキに匹敵する表面殺菌力があるが,浸透力が小さいのが欠点。今日では日本国内での製造,販売は少ない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android