メルブロミンともいう。化学式はC20H8Br2HgNa2O6。1919年W.ヤングらによって創製された。通常,これの1~2%水溶液(マーキュロクロム液)として使用される。マーキュロクロム液は,色が赤いため俗に〈赤チン〉ともいわれ,細菌発育抑制作用があって,局所刺激性が少ないため,創傷,皮膚粘膜の消毒に用いられる。しかし,マーキュロクロムを含め,有機水銀製剤は基本的には作用は静菌的であり,浸透性も弱いので,芽胞を殺すのには使用できない。副作用には過敏症のほか,長期連用による腎臓障害などがある。従来は好んで用いられたが,近年,水銀化合物が公害関連物質に指定されたため,国内での製造は停止されており,あまり用いられなくなった。
執筆者:杉原 正泰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
殺菌消毒剤、有機水銀化合物。青緑色ないし帯緑赤褐色の小葉状または粒状で、においはなく、水によく溶け、水溶液は赤色を呈し、黄緑色の蛍光を発する。一般に2%水溶液をマーキュロクロム液といい、俗に「赤チン」とよぶ。刺激性のない緩和な消毒剤として皮膚、粘膜に塗布する。水銀イオンが解離して殺菌作用を現すが、殺菌作用はあまり強くない。皮膚・粘膜の消毒のほか、創面の消毒はもとより、洗浄、点眼・洗眼にも用いられたことがある。刺激性のないこと、金属を腐食しないことが利点であるが、着色が強いのが欠点である。水銀化合物であるので、製造時における公害が問題となり、日本では製造されていない。使用量も激減している。ヨードチンキとの併用は水銀が析出するので避けなければならない。
[幸保文治]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…栄養型の微生物に強く作用するが,毒性が強いので今日ではほとんど使われない。水銀剤としてはオキシシアン化水銀やマーキュロクロム(メルブロミン),チメロサールなどが知られているが,使用されているのはマーキュロクロムくらいのものである。その他の重金属塩類では硝酸銀が有名である。…
※「マーキュロクロム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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