日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーキュロクロム」の意味・わかりやすい解説
マーキュロクロム
まーきゅろくろむ
mercurochrome
殺菌消毒剤、有機水銀化合物。青緑色ないし帯緑赤褐色の小葉状または粒状で、においはなく、水によく溶け、水溶液は赤色を呈し、黄緑色の蛍光を発する。一般に2%水溶液をマーキュロクロム液といい、俗に「赤チン」とよぶ。刺激性のない緩和な消毒剤として皮膚、粘膜に塗布する。水銀イオンが解離して殺菌作用を現すが、殺菌作用はあまり強くない。皮膚・粘膜の消毒のほか、創面の消毒はもとより、洗浄、点眼・洗眼にも用いられたことがある。刺激性のないこと、金属を腐食しないことが利点であるが、着色が強いのが欠点である。水銀化合物であるので、製造時における公害が問題となり、日本では製造されていない。使用量も激減している。ヨードチンキとの併用は水銀が析出するので避けなければならない。
[幸保文治]