ミュシャ(読み)みゅしゃ(英語表記)Alfons Mucha

デジタル大辞泉 「ミュシャ」の意味・読み・例文・類語

ミュシャ(Alfons Mucha)

[1860~1939]チェコスロバキア画家。女優サラ=ベルナールポスターを手がけたことで名声を得る。女性に花や流線を組み合わせた華麗なデザインで、アールヌーボーを代表する人物となった。チェコ語ではムハ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミュシャ」の意味・わかりやすい解説

ミュシャ
みゅしゃ
Alfons Mucha
(1860―1939)

チェコスロバキアの画家、装飾画家。チェコ語読みはムハ。モラビアのイバンチッツェ生まれ。プラハの美術学校の入試に失敗、ウィーンに出て舞台美術工房で働く。その後クーエン・ベラシ伯爵に認められミュンヘン修業、1888年からパリに移りアカデミー・ジュリアンなどで学んだ。その経済援助が打ち切られた1890年代から自活の道を挿絵にみいだす。また、1894年の暮れ、図らずも女優サラ・ベルナールのポスターを制作する幸運を得、大ヒットして一躍名声を博す。サラとの契約6年間に生まれたポスター、花と女の華麗なミュシャ様式は、アール・ヌーボーの代名詞になった。1904年以後、何回かアメリカに行き、制作し教鞭(きょうべん)もとる。1910年から祖国に帰り、1918年の歳月をかけた絵画の大作スラブ叙事詩』を完成。国章・切手・紙幣のデザイン、プラハの聖ビート大聖堂のステンドグラスなどを手がけ、終生愛した祖国の首都プラハで没した。

[浜田靖子]

『中山公男他編『アール・ヌーヴォーの世界1 ミュシャとパリ』(1987・学習研究社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「ミュシャ」の意味・わかりやすい解説

ミュシャ
Alphonse Mucha
生没年:1860-1939

チェコスロバキア出身で,パリで活躍した画家。チェコ語ではムハ。イバンチツェIvančice生れ。ミュンヘンのアカデミーで学び,1887年パリに出る。94年サラ・ベルナールの《ジスモンダ》のポスターを描いて,一躍,世紀末の代表的なグラフィック・アーティストになった。1904年まで,《椿姫》《ロレンザッチョ》《ハムレット》など,ベルナールのためのポスターを描きつづける。さらに,装飾パネルからブローチにいたるおびただしい装飾美術を手がけた。花と女を曲線によって平面的に描く彼のスタイルはアール・ヌーボーの典型であった。日本でも雑誌《明星》(1900創刊)の表紙やさし絵を描いた一条成美,藤島武二などにミュシャの作風があらわれている。13年ロシアに旅してスラブ民族の血を呼びさまされ,晩年は故国で大作《スラブ叙事詩》に全力を傾けた。画業のかたわら撮りつづけた写真も再評価されつつある。
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百科事典マイペディア 「ミュシャ」の意味・わかりやすい解説

ミュシャ

アール・ヌーボー様式のグラフィック・デザインを代表するポスター作家,画家。チェコ語ではムハ。モラビア(現チェコ)生れ。ウィーン,ミュンヘンを経て,1888年パリに移る。1894年女優サラ・ベルナールの《ジスモンダ》の原寸大ポスターを描く。その後ベルナールと6年間の契約を交わし,《メディア》《椿姫》など数多くのポスターをデザインした。ほかに《カッサン印刷所》《ジョブ煙草紙》のポスター,装幀,パッケージ,ジュエリー・デザインの原画も手がけた。耽美的な女性像に植物の装飾的曲線を配したイメージは,アール・ヌーボー文化を代表する図像とされる。1910年プラハに戻り,当地で《スラブ叙事詩》などの絵画制作に専念した。
→関連項目ポスター

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミュシャ」の意味・わかりやすい解説

ミュシャ
Mucha, Alfons

[生]1860.7.24. モラビア,イバンチツェ
[没]1939.7.14. プラハ
チェコの画家,イラストレーター。モラビアのブルノで初等教育を受ける。ウィーンで劇場の背景画を描く仕事をしたのち,ミュンヘンとパリで美術を学んだ。パリにとどまりゴーガン,劇作家ストリンドベリらと親交を結ぶ。 1892年出版社アルマン・コリンに就職。 94年以後の数年間女優サラ・ベルナールと契約し,彼女のポスター広告および衣装,舞台装置などのデザインを引受け,アール・ヌーボーのこの分野での代表的存在となる。 1922年までにいくたびか渡米し,21~22年ニューヨークで個展を開いた。主要作品はイラスト集"Ilsée" (1897) ,『スラブ叙事詩,20の大絵画』 (1928,モラフスキー・クロムロブ城) 。

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