流れの中の曲線で、その上の任意の点における接線が流速ベクトルvと一致するものを流線という。一つの点で二つの流速ベクトルは存在しえないから、流線は交わらない。流れのようすが時間的に変化しないような定常流では、流体粒子は流線に沿って運動するが、非定常な流れでは、流体粒子は次々と異なった流線に移っていく。流線を見るためには、流れている水の表面にアルミニウムの粉末をまき、短いシャッター時間で写真を撮ればよい。ベルヌーイの定理は、1本の流線上での流速と圧力の関係を与えている。したがって、異なった流線上の2点間の関係には使えないことに留意しなければならない。
流れの中に物体を置くと、物体の上流側では、流れは規則正しい滑らかな流線の形をしているが、下流側では流線は乱れてくる。これを伴流(はんりゅう)というが、伴流は境界層のはがれによって生ずる。飛行機の翼では、境界層は翼からはがれず、したがって伴流も現れない。このように伴流領域の現れない物体の形を流線形といい、飛行機の翼、弾丸、船、魚などはこのような形をとっている。
[池内 了]
流体の運動が時間的に変動しない,すなわち定常なとき,流れに注入された,流体と同密度の微粒子の描く曲線。流線の接線は各点での流速ベクトルとその方向が一致している。このことから,流線は互いに交わることはない。定常な流れにおける流線に対し,非定常運動では流跡線という概念がしばしば用いられる。これはある瞬間における各点での流速ベクトルと接線が一致するような曲線であり,次の瞬間での流跡線は一般に前の時刻のものと交差する。見方を変えると,流跡線はある瞬時の流れをあたかも定常とみなしたとき得られる流線といえる。流線を見るには,軽い金属(例えば,アルミニウム)の微粉末や水素気泡を流体中の1点またはいくつかの点で連続的に注入し,これを写真にとる。他方,流跡線はそれがあまり大きく変形しない程度の露出時間で写真をとると,微粉末や水素気泡の動きから各点での速度ベクトルの方向がわかり,それらをつなぐことによって得られる。
執筆者:吉沢 徴
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… これに対して図2は風呂の栓を抜いたときに見られる渦である。図1と同じく流線は同心円状で水はどの部分をとっても等速円運動をしているが,その速度は中心のごく近くを除くと,中心から遠ざかるに従って遅くなっている。この場合には中心近くの水を除いては自転の角速度はきわめて小さい。…
…最近では,人工衛星にのせたコロナグラフにより,散乱光のないスペースからずっと外側の外部コロナまで調べることが可能となった。太陽コロナは太陽活動と関係して形を変え,一般に太陽活動極大期にほぼ円形となり,極小期には赤道方向にいくつかの光った“つの”(ストリーマーstreamer,コロナの流線ともいう)をもった形に見える。この形は,数日から10日くらいで変化するが,これはコロナ自体の変化にもよるが,太陽の自転により地球から見るストリーマーの角度が変わることにもよっている。…
…一般に,空間内にとった各点の動きを,時間のような一つのパラメーターの連続関数として記述できるとき,これを抽象化して流れということもある。
[流線と流管]
流れを具体的に見るためには,一般には流体とともに移動する微粒子(おがくず,アルミ粉など)や気泡などのトレーサーを用いる。時間的に変わらない流れ(定常な流れ)ではこれらを写真撮影すると一定の筋模様が見られる。…
※「流線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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