ミルティアデス(読み)みるてぃあです(英語表記)Miltiades

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミルティアデス」の意味・わかりやすい解説

ミルティアデス
みるてぃあです
Miltiades
(前550ころ―前489)

古代ギリシア、アテネの将軍。マラトンの戦いで指導的役割を果たした。名門フィライオスPhilaios家の出身。彼は紀元前524年ころ、同名の伯父が開拓したトラキアケルソネソスChersonesosの支配者になった。前5世紀初めにはインブロス、レムノス両島を占領し、アテネに譲った。自ら参加したイオニア反乱の末期、ペルシアの支配を逃れてアテネに戻る(前493)と、ケルソネソスでの専制を理由に政敵により告訴されたが、無罪となる。前490年ペルシア軍がアッティカに接近すると、ペルシア人の戦法を熟知していた彼は、出撃してペルシア人と戦うことを民会で決議させ、マラトンの戦いでペルシア軍の撃退に成功した。しかし、翌年パロス遠征に失敗、莫大(ばくだい)な罰金を課せられて失脚し、拘禁中、パロス島で受けた戦傷がもとで獄死した。なお、デロス同盟の確立に大きな貢献をしたキモンは彼の息子である。

[真下英信]

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