ムクノキ(読み)むくのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムクノキ」の意味・わかりやすい解説

ムクノキ
むくのき / 椋
[学] Aphananthe aspera (Thunb.) Planch.

ニレ科(APG分類:アサ科)の落葉高木。高さ20メートル、径1メートルに達する。樹皮灰褐色、枝は横に広がる。葉は互生し、卵形または長卵形で長さ5~8センチメートル、基部は幾分非相称。縁(へり)にとがる鋸歯(きょし)があり、基部で3本に合着する6~8対の葉脈は、まっすぐ鋸歯の先端に達する。5月、淡緑色花を開く。雄花は当年枝の下部に集散状につき、花被(かひ)は5枚、雄しべは5本。雌花は枝の上方に1、2個つき、花被は5枚で花柱は2裂する。果実は卵状球形で径1.2センチメートル、同年秋、紫黒色に熟し、食べられる。低山地に生え、関東地方以西の本州から九州、沖縄県および朝鮮半島、中国中部から南部、台湾、インドシナに分布する。名は、茂(も)くの意味で、よく茂ることからいう。一般に椋の字をあてるが、誤りだといわれる。材は床柱、器具、建築、船舶材などに用い、葉は角(つの)細工研摩材に利用する。

[伊藤浩司 2019年12月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムクノキ」の意味・わかりやすい解説

ムクノキ(椋の樹)
ムクノキ
Aphananthe aspera

ニレ科の落葉高木。ムクエノキともいう。本州以西,朝鮮半島,中国に分布し山野に生える。エノキ (榎)に似ているが葉が長大で平行する3本の脈が目立つ。しばしば人家付近や道路脇にも植えられる。高さ 20mになるものもあり,樹皮もエノキとよく似ている。葉は互生し有柄で,ほぼ卵形で先がとがる。葉面は非常にざらつき,硬いので物を磨くのに使う。春,若葉と同時に淡緑色の細かい花をつける。雌雄同株。秋にエノキよりやや大きく黒い丸い実がなり,甘くて食べられるが,樹液には有毒成分がある。

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