モニエ(読み)もにえ(英語表記)Henri Monnier

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モニエ」の意味・わかりやすい解説

モニエ(Joseph Monnier)
もにえ
Joseph Monier
(1823―1906)

フランスの技術者、鉄筋コンクリートの発明者。サン・カンタン・ラ・ポトリーに生まれる。ブローニュの庭師からパリの大園芸場の所有者となり、植木鉢改良から鉄筋コンクリートを考案した。1849年、耐久性の向上と軽量化から、小石セメントに水を加えて細い針金網の骨組の上から流し込む方法を採用、植木鉢の改良に応用した。1867年特許を取得し、腰掛、直線梁(ばり)、管などにも用い、1875年には世界最初の鉄筋コンクリート橋を完成させた。とくにモニエ・ベトンと称して採用したドイツをはじめ、世界的な鉄筋コンクリート技術の幕開きを導き出した。

[藤原恵洋・村松貞次郎


モニエ(Henri Monnier)
もにえ
Henri Monnier
(1799―1877)

フランスの風刺画家、作家、俳優生年が1805と記されることがあるが、これは本人が偽ったため。パリ生まれ。ジロデのアトリエで画技を学び、1830年、風俗風刺画集『巷間(こうかん)風景集』を刊行なかに登場する俗物ジョゼフ・プリュドムJoseph Prudhommeが大評判となり、さらに『ジョゼフ・プリュドム氏の覚え書き』(1857)によってこの人物はブルジョア戯画極致として定着する。自作喜劇『ジョゼフ・プリュドム氏の栄枯盛衰』(1852初演)では自らこの人物を演じた。

横張 誠]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モニエ」の意味・わかりやすい解説

モニエ
Monnier, Henri Bonaventure

[生]1799.6.6. パリ
[没]1877.1.3. パリ
フランスの漫画家,劇作家。風刺漫画家として大きな人気を得,『官庁風俗』 Mœurs administratives (1828) ,『おしゃれ女工』 Grisettes (29) などの傑作がある。劇作家としては,通俗喜劇『乞食』 Les Mendiants (29) でデビュー。軽妙辛辣な作品を得意とし,ブルジョアの俗物の典型ジョゼフ・プリュドムを創造した『プリュドム氏盛衰記』 Grandeur et décadence de M. Joseph Prudhomme (53,改作を重ね『プリュドム氏回想録』〈57〉として完成) によって名声を得た。ほかに『都会と田舎の風景』 Scènes de la ville et de la campagne (41) ,『ばか者たちの宗教』 La Religion des imbéciles (62) など。

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