改訂新版 世界大百科事典 「モンティセリ」の意味・わかりやすい解説
モンティセリ
Adolphe Monticelli
生没年:1824-86
フランスの画家。マルセイユのイタリア系の家庭に生まれ,市の美術学校で学んだ後,パリに出てドラローシュに師事。その間ルーブル美術館でレンブラントやワトーの作品を研究し,前者からは明暗のコントラストや厚塗りのタッチを,後者からは華やかな色彩を吸収する。様式は,輪郭線を無視し,形態が定かでなくなるほどの絵具の奔放なタッチを特徴とし,後に影響を与えたディアズN.Diaz de la Peñaがかろうじて最も近い画家といえるが,きわめて独創的であった。主題はロココ風の戸外人物画,肖像画,花の静物画などで,とくに後者はゴッホに深い影響を与えた。1870年よりマルセイユに戻って制作をつづけ,同地で没。
執筆者:馬渕 明子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報