ヤブニンジン(読み)やぶにんじん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤブニンジン」の意味・わかりやすい解説

ヤブニンジン
やぶにんじん / 藪人参
[学] Osmorhiza aristata (Thunb.) Makino et Yabe

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。根は太い。茎は高さ40~60センチメートル。葉は2、3回3出羽状複葉(葉の形態については「複葉」の項を参照)。4~5月、白色花を開く。果実は細長く、長さ2センチメートル。山野の陰湿地に普通に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国、シベリアインドなどに分布する。名は、葉がニンジンに似ており、藪(やぶ)に生えることによる。本州と朝鮮半島には変種ミヤマヤブニンジンがある。

 ヤブニンジン属は10種あり、東アジアと北アメリカに隔離分布する。

[門田裕一 2021年12月14日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤブニンジン」の意味・わかりやすい解説

ヤブニンジン(藪人参)
ヤブニンジン
Osmorhiza aristata

セリ科の多年草で,ナガジラミともいう。アジアの温帯冷温帯に広く分布する。日本各地の丘陵地の林内に生える。茎は花序も含めて高さ 40~60cmとなり,上部はよく分枝し,全体に白い毛がある。葉は3出羽状複葉で小葉は卵形,あらい鋸歯がある。葉柄は,根出葉と下部につく葉では長く,上部のものは短い。4~5月に,小さな散形花序を出して白色の花をつける。花序の基部に包葉5枚があり,雄花両性花があるが,ともに5枚の花弁があって内へ曲る。果実は長さ 2cmほどの細長い紡錘形で全体に毛がある。

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