ユウゼンギク(英語表記)New York aster
Aster novi-belgii L.

改訂新版 世界大百科事典 「ユウゼンギク」の意味・わかりやすい解説

ユウゼンギク
New York aster
Aster novi-belgii L.

北アメリカ原産のキク科耐寒性多年草。ユウゼンギクの名は,正式には本種のことであるが,一般的には,これと近縁のアメリカシオンA.novae-angliae L.(英名New England aster)やA.amellus L.(英名Italian aster),A.dumosus L.などの園芸品種の総称として扱われていることが多い。また,日本でシノノメギクと呼ばれる四季咲性をもつ品種も,この一群のものである。草丈は矮性種で30cm,高性種では1m以上となり,よく分枝して大きく茂る。葉は長楕円形または線状披針形濃緑色を呈し,アメリカシオン系のものには茎葉に粘りけがある。多くは晩夏から秋へかけて径2.5cmぐらいの小菊状の頭状花を群開し,一重咲き,八重咲きのほか,花色も藤青,紫,赤紫,紅,桃,白と多彩で数多くの園芸品種があり,花壇鉢物に賞用される。日当り排水のよい所ならば,土質を選ばずに栽培できるが,過湿地では葉が蒸れて腐りやすいので通風をよくする。繁殖越冬芽早春に分けるほか,キク同様に4月ごろ挿木をしても容易に殖やせるが,シノノメギクのように早咲き6月より咲く)の種類は,秋に株分けや挿木を行った方がよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユウゼンギク」の意味・わかりやすい解説

ユウゼンギク
ゆうぜんぎく / 友禅菊
[学] Symphyotrichum novi-belgii (L.) G.L.Nesom
Aster novi-belgii L.

キク科(APG分類:キク科)の耐寒性多年草。北アメリカ原産。茎は高さ約1.3メートルに達する。葉は細長い線状披針(ひしん)形、無柄で葉腋(ようえき)に耳状片がある。8~9月、茎頂に一重の頭状花を多数つける。花弁は一般に濃青紫色であるが、白色種もある。耐寒性が強く、性質も強健でつくりやすい。宿根草であるが、栽培上は春播(ま)きまたは秋播きとし、切り花、花壇用に栽培される。栽培は一度定植すれば2~3年は据え置いてもよいが、連作すると下葉が早く枯れ上がり、茎も伸長が悪くなるので、植え替えをする。植え替えにあたっては、1平方メートル当り1キログラムくらいの堆肥(たいひ)または腐葉土を施し、これに化成肥料を100~300グラム振りまいてから、よく混ぜておく。繁殖は3月ころに株分けをするのが普通であるが、4~5月、新芽の先端を切って挿芽を行うこともできる。一般にアスターといわれるエゾギクは中国北部原産のCallistephus chinensis Neesをさす。

[岡田正順 2022年5月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユウゼンギク」の意味・わかりやすい解説

ユウゼンギク(友禅菊)
ユウゼンギク
Aster novi-belgii; New York aster

キク科の多年草。日本原産のような名であるが,明治期に北アメリカから渡来し,一部で帰化している。茎は散房状に分枝する。葉は披針形または線状披針形で互生。頭状花は茎頂につき,直径 2.5cm前後になる。花色は藤青色,紫色,紫紅色,桃色,白色など多彩で,一重咲きのほか,半八重咲きもある。草丈 45cm以下の矮性のものや,1mをこえる高性のものもある。園芸品種が多く,鉢物や切り花に利用される。耐寒性が強くじょうぶで,栽培は容易。

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