ユマニスト(読み)ゆまにすと(英語表記)humaniste

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユマニスト」の意味・わかりやすい解説

ユマニスト
ゆまにすと
humaniste

人文主義者、人文学者ともいう。ペトラルカボッカチオなどを先駆とし、15、6世紀の西欧ルネサンス期に活躍したイタリアピコ・デラ・ミランドラドイツロイヒリンオランダエラスムスイギリストマス・モア、フランスのラブレーモンテーニュなどの人々をさす。彼らはギリシアローマの古典研究を通じて現実的な人間の肯定をもとにした新しい人間の理想像を探究し、近代的人間観の基礎を築いた。

[石川光一]

『渡辺一夫著『フランス・ユマニスムの成立』(1976・岩波書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユマニスト」の意味・わかりやすい解説

ユマニスト
humanistes

中世以来,ギリシア語,ラテン語,古典学芸の研究にたずさわる学者,文人を意味したが,特に 15~16世紀フランスの人文主義者をさす。これらのルネサンス期のユマニストは,神学のなかだけに限られていた古代研究を解放し,広く人間の問題を対象とし,原典探究と批評精神に基づく合理主義,実証主義の思潮・態度すなわちユマニスム (人間主義) によって,人間思考を前進させ,それによって自由検討の精神と良心独立の立場を確立した。宗教思想問題について,特にフランスでは聖書の解釈と原典の再検討から,カトリック教会に批判を加え,教会の内部改革を要請する福音主義者と共通する面があったが,のちに宗教改革運動とは絶縁し,宗教思想の点でそれぞれ異なった立場をとり,対立し合うことになる。ビュデ,ルフェーブル・デタープル,ラブレー,モンテーニュ,初期のカルバン,フランス以外ではエラスムス,トマス・モアが代表的である。

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