ロイヒリン(読み)ろいひりん(英語表記)Johannes Reuchlin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロイヒリン」の意味・わかりやすい解説

ロイヒリン
ろいひりん
Johannes Reuchlin
(1455―1522)

ドイツの人文主義者、古典学者、法律家、詩人、とくにヘブライ語学者。メランヒトンの大伯父。フライブルク、パリ、バーゼルで学び、ギリシア・ラテン的な人文主義的関心を深めた。法律家としてイタリアに赴き、フィチーノピコ友情を結ぶ。そこでユダヤ教への興味を喚起され、カバラ(ユダヤ教の聖書の神秘的解釈法)に傾倒、ヘブライ語を研究、その文法・辞典を著した。これは旧約聖書学にとって画期的基礎づけとなった。また人文主義の視界をヘブライ語の世界にまで広げるものであった。当時の焚書(ふんしょ)にまで及ぶ極端な反ユダヤ運動に激しく反対し、ローマ教皇にも批判的であったが、ルターの宗教改革は支持しなかった。晩年、インゴールシュタット大学、チュービンゲン大学のギリシア語・ヘブライ語教授を歴任

[常葉謙二 2018年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロイヒリン」の意味・わかりやすい解説

ロイヒリン
Reuchlin, Johannes

[生]1455.2.22. プフォルツハイム
[没]1522.6.6. バートリーベンツェル
ドイツの代表的な人文学者,法律学者,詩人,古典語学者。 P.メランヒトンの大伯父。古典語,特にギリシア語に精通し,バーゼル大学では古典ラテン語で講義を行なった。のちウュルテンベルクのエベルハルト伯に仕え,イタリアにおもむき,そこでカバラに傾倒し,ヘブライ語を学んだ。 1506年『ヘブライ語初歩』 De Redimentis Hebraicisを著わしたが,これは旧約聖書原典にさかのぼって研究するうえで画期的な労作となった。ユダヤ教からの改宗者 J.プフェフェルコルンがヘブライ語の焚書をはかったのに反対したため,プフェフェルコルンを支持するケルンのドミニコ会士と衝突,論争,やがて教皇によりロイヒリンの著書は断罪を受けた。宗教改革者たちは彼の側に立ったが,彼自身はルターを支持せず,メランヒトンをルターから離そうとした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android