ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーゼフ2世」の意味・わかりやすい解説
ヨーゼフ2世
ヨーゼフにせい
Joseph II
[没]1790.2.20. ウィーン
神聖ローマ皇帝 (在位 1765~90) 。フリードリヒ2世 (大王)と並ぶドイツの啓蒙絶対主義君主の典型。マリア・テレジアの長男。父フランツ1世の死後帝位につき,母とオーストリアを共同統治 (65~80) 。母の死後,中央集権化のため画一的な行政区画を設定 (82) ,ドイツ語を公用語とし (84) ,重商主義的な経済政策に開明的な色彩を加味し (たとえば 81年の農奴廃止) ,プロテスタントに対する寛容政策をとり,信教容認令を公布し (81) ,国民教育制度の確立 (83) をはかった。しかしこれらの急激な改革は保守派,改革派の双方から不満を誘発し,ハンガリーやオーストリア領ネーデルラントに騒動が起ったため,死の直前に大部分の改革を放棄せざるをえなかった。対外政策ではロシア,プロシアと第1次ポーランド分割 (72) を行なったが,バイエルン継承戦争ではその野心をはばまれた。また再度バイエルンの地を獲得しようと努めたが,プロシアのフリードリヒ2世が皇帝の動きに脅威を感じている有力な諸侯らと諸侯同盟を結んで,ヨーゼフの企図を放棄させた。
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