1992年2月調印、93年11月発効の欧州連合(EU)の基本条約。57年調印のローマ条約を大幅改正したもので、経済通貨統合、共通外交・安全保障、司法・内務協力の3政策が柱。「欧州共同体(EC)」に代わるEUが発足した。基本条約はさらに改正され、アムステルダム条約(発効99年)、ニース条約(同2003年)、EU大統領などを創設した現行のリスボン条約(同09年)へと受け継がれた。(ブリュッセル共同)
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ヨーロッパ共同体(EC)が定めた条約。これによりECはヨーロッパ連合(EU)に発展したため、ヨーロッパ連合条約Treaty on European Unionともよばれる。1991年12月、オランダのマーストリヒトで開催した首脳会議で採択された。92年2月に調印、93年11月に発効。ECの憲法といわれたローマ条約を包括改定した新しいEUの憲法で、単一通貨の発行スケジュールが盛り込まれた。またヨーロッパ統合運動はこれまで経済を中心としてきたが、マーストリヒト条約は外交・安全保障面でも統合を推進しようとするところに特色がある。ヨーロッパ市民権の確立、ヨーロッパ議会の権限強化、ヨーロッパ刑事警察機構(ユーロポール)の設置なども打ち出した。なお、97年6月の首脳会議では、マーストリヒト条約を大幅に改定した新ヨーロッパ連合条約(アムステルダム条約)が採択された。同条約は軍事行動に反対する加盟国の棄権は議決を妨げないとする「建設的棄権」の考え方を導入し、これによって独自の軍事力保有の道を開いた。
[横山三四郎]
『日本EC学会編『日本EC学会年報 マーストリヒト条約の多角的検証』(1995・有斐閣)』
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1991年12月,オランダのマーストリヒトで開催されたEC首脳会談で合意,92年2月に採択された条約。正式名称はヨーロッパ連合条約(Treaty on European Union)。この条約により,従来独立の共同体として並存していたEEC,ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC),ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)をEUの基礎的な構成要素とし,共通外交・安全保障政策,単一通貨の導入,EC(現EU)議会の権限強化が目標とされた。当初,93年1月1日に発効する予定だったが,デンマーク国民投票で否決されたため延期され,ようやく11月1日に発効した。
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