日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライフサイクルコスト」の意味・わかりやすい解説
ライフサイクルコスト
らいふさいくるこすと
life cycle cost
製品の設計・開発から製造、販売、保守、修繕、最後の廃棄にいたるまでに発生する全費用。略称LCC。あらゆる製品にはライフサイクルコストがあるが、とくに道路、橋梁(きょうりょう)、トンネル、ダムなど、国や自治体が管理する大規模インフラのコストをさすことが多い。高度経済成長期からバブル期に政府、自治体によりつくられたインフラは、その後の税収増で維持費用は十分にまかなえると考え、必要以上に大きく、立派につくられているものが少なくない。しかし実際には税収減により、老朽化が進んでも改修費用を捻出(ねんしゅつ)できず、深刻な問題を抱えたまま放置されているケースもある。そうした設備については旧来のインフラを改修して使い続けるよりも、いったん壊して適正な規模でつくり直したほうがライフサイクルコストを低く抑えられる場合が多い。その際は建設資材には入手しやすい標準的なものを使用すること、保守や改修がしやすいようにデザインをシンプルにすることなどが求められる。
[編集部]