ラカイユ(読み)らかいゆ(その他表記)Nicolas Louis de Lacaille

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラカイユ」の意味・わかりやすい解説

ラカイユ
らかいゆ
Nicolas Louis de Lacaille
(1713―1762)

フランス天文学者南天星座の創設者。軍人を父としてルミニュに生まれ、パリに出て哲学神学を学んだが、天文学に興味をもち、カッシーニの紹介でパリ天文台に就職。1737年に最初の天体観測を行う。当時カッシーニの下で地球の形状の確定事業に参画し、1740年厳冬、西フランスの子午線弧長を精密測量して事業に貢献した。測量資料の分析がアカデミーに認められ、1751~1753年南アフリカ遠征隊を指揮して喜望峰において南天の掃天観測を行い、1万個の恒星を含む『南天星図』を作成した。南天の14個の新星座はこのときに制定された。またこのときベルリンにいたラランドとの比較観測により、月・金星火星の地心視差測定した。

[島村福太郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「ラカイユ」の意味・わかりやすい解説

ラカイユ
Nicolas Louis de Lacaille
生没年:1713-62

フランスの天文学者。若くしてナント,パリなどで神学を学び,司祭となる。ほとんど独学数学と天文学を学び,パリの天文台のJ.カッシニの知遇を得てそこに寄寓,天体の観測を始める。また測地学が重要な学問上の話題であった当時,測地学の研究にも手を染めた。1740年正確な測量を続けた結果,地球の形状についての有名なデカルト流とニュートン流の仮説間の論争(地軸に対する変形をデカルトは縦長,ニュートンは扁平として考えた)に関して,ニュートンに与する解答を与えた。41年アカデミー・デ・シアンスの天文官となり,また同年著した数学の教科書は好評を博してヨーロッパ各国語に訳された。

 50年以降,アカデミー・デ・シアンスの援助で南半球での研究に従事し,喜望峰での観測は,天文学上も測地学上も多くの重要な結果をもたらした。これらの結果は月や太陽の視差値の改良と,南天に観測される天体のカタログの飛躍的な改善とを生んだ。52年に発表した南天星図には,14個(らしんばん座を含む)の新星座が描かれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラカイユ」の意味・わかりやすい解説

ラカイユ
Lacaille, Nicolas Louis de

[生]1713.5.15. リュミニー
[没]1762.3.21. パリ
フランスの天文学者。初め神学を学んだが,天文学や数学に興味をもつようになり,パリ天文台助手を経てマザラン大学教授 (1739) 。科学アカデミー会員 (41) 。ケープタウンへ遠征 (50~54) ,南天の1万個以上の恒星位置の決定とともに,月,金星,火星の精密観測を行い,これらの地球からの距離決定に重大な貢献をなした。その成果は彼の死後『恒星の南天』 (63) としてまとめられた。

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百科事典マイペディア 「ラカイユ」の意味・わかりやすい解説

ラカイユ

フランスの天文学者。1750年―1754年南アフリカの喜望峰で子午線の長さ,月の視差の測定に従事。南天の恒星の観測も行い,星座13個を新設,またアルゴ座を4分割し,南天の星表を刊行した。

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世界大百科事典(旧版)内のラカイユの言及

【アルゴ座】より

…現在では,この名は使われない。この星座はたいへん大きく広いので,1752年N.L.ラカイユは,これをりゅうこつ(竜骨),とも(艫),ほ(帆),らしんばん(羅針盤)の4星座に分割した。アルゴナウタイ伝説【石田 五郎】。…

【ちょうこくぐ座(彫刻具座)】より

…冬空のオリオン座の南西の地平線近くに見える南天の小星座。18世紀にフランスの天文学者N.ラカイユが新設した。caelumは彫刻につかうのみ,たがねを意味するラテン語。…

【ちょうこくしつ座(彫刻室座)】より

…秋空の南の地平線近くに見える南天の小星座。18世紀のフランスの天文学者N.ラカイユが新設した。輝星はない。…

【とけい座(時計座)】より

…冬空の南の地平線近くに見える小星座で,エリダヌス座の南にある。18世紀フランスの天文学者N.L.ラカイユが新設した南天星座で,C.ホイヘンスが発明した振子時計にちなんでこの名まえが採用されたが,輝星はない。概略位置は赤経3h20m,赤緯-52゜。…

※「ラカイユ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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