ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラングリー」の意味・わかりやすい解説
ラングリー
Langley, Samuel Pierpont
[没]1906.2.27. サウスカロライナ,エーケン
アメリカ合衆国の天文学者,物理学者,航空学の先駆者。太陽放射の研究と,飛行機の開発で知られる。土木と建築に従事したのち,ハーバード大学天文台助手を経て,アナポリス海軍兵学校で数学を教え,1867年アレゲニー天文台長およびピッツバーグ大学物理学・天文学教授となった。ラングリーの関心は太陽活動とその気象への影響にあり,1878年放射熱を測定するボロメータを考案,太陽スペクトルの研究を行なった。アレゲニー天文台では,大気中を移動する物体に働く揚力と抗力に関する実験を行ない,鳥がはばたかずに飛べる理由を初めて解明した。1896年世界初となる空気より重い航空機(重航空機)を製作。翼幅 4.3m,重量 11.8kg,動力には蒸気機関を用いたが,人が乗ることはできなかった。次いで有人飛行を目指し,ガソリンエンジンを搭載した飛行機を製作,1903年10月,同年 12月の 2度にわたりポトマック川に係留した船から発射したが飛行に失敗した。12月の実験が行なわれたのは,ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功する数日前のことだった。
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